スリットドラム(タングドラム)の音数は多い方が良いか?

メーカー問わずスリットドラム(タングドラム)の音数は6音~15音の間に収まっていることが一般的だと思います。

私の見たところ欧米のメーカーでは8音が一番多く、15音のようにたくさんの音が入っているモデルの大半は中国製という印象です。

私が決めることが出来るならば「音の数は6音で充分」です。

そもそも音の数が「多いか少ないか」ということ以上に「どんなことをやりたいのか」が最も重要ですが。

6音(中央はアクセント的)

15音(曲演奏主体なら)

8音(音配置は横並びも可能)

もし「既存の曲を演奏したい」ということであれば6音では少なすぎて話になりません。

「ドレミファソラシド」が揃った8音タイプなら十分に演奏を楽しめるか、と言えばそんなことはありません。かなり限定的になってしまうでしょうね。

つまり「曲の演奏がしたい」ということであれば、やはり2オクターブ15音程度が欲しいところですね。

それに加えていわゆる「半音階」(ピアノで言えば黒い鍵盤の音ですね)があればなお良いのですが、まずはオクターブ違い(同じ音で高い低いの違い)がある方が楽しめると思っています。

「特に曲の演奏は考えていない」という方には逆に音の数は少ない方が良いと思います。

 

 

プロパノータでは音の数が6音から15音まで各種のタイプがありますが6音階のタイプで充分です。

「自由に感覚的に音を楽しみたい」という方は特に6音階がお勧めです。

「せっかくだからもうちょっと」などと考え8音タイプをお選びするのは全くお勧めいたしません。

こちらのツイッター動画、6音タイプと8音タイプを何も考えずに鳴らしています。

6音タイプの方はどのように鳴らしてもしっくりきますが、8音タイプだと「あ、今の音違ったな」と感じることが多々あります。

音の組み合わせとは不思議ですね。

ドレミファソラシドの8音タイプの音から2音省いたのが6音。

楽譜的に演奏するのであれば8音もアリですが、自由に出来るものに敢えて「楽譜的」という制限を付けるのも、、、私は苦手です。

ちなみに日本では「スリットドラムで〇〇の曲を演奏してみた」的な動画をよく見かけます。

われわれ日本人は「自分がやりたいこと」よりも「人から文句を言われないこと」を重視するとよく言われますね。

一方の欧米では逆で「自分がやりたいこと」を優先する傾向があるとか・・

欧米系のスリットドラムの動画では「〇〇の曲を演奏してみた」動画を私は見たことがありません(そもそもスリットドラムの動画自体あまり見ませんが)。

欧米ではこの楽器は「自由に即興的に楽しむ」との見方が強いのではないかと思っています。

日本では「正しいこと(楽譜的な演奏」が重視されるのかな。。

もちろんどちらが良い悪いの問題ではありません。

同じように最近人気上昇中の「カリンバ」も同じ傾向がありますね。

ちょっと違いますが同じようなグループに分けられている「ハンドパン」という楽器。

初期のころは8~9音が大半だったと思いますが、最近は表面の音が増えただけでなく裏面にも音が入っていたりと大幅に一台の中での音の数が増えてきているようです。

そうなると奏者側でも様々なチャレンジが出来たり、猛練習して難解な演奏をしたりと「メーカーも奏者も技術競争」的な方向へ向かってしまうのかもしれません。

現時点でも多数の音や複数台を使いかなりのスーパーテクを駆使して演奏される方もたくさんおりますが、技術競争はあまり歓迎したくないなぁ。

競争ではなく調和したいですからね。

話を音数に戻しまして、8音の「ドレミファソラシド」から2音抜いたタイプが「6音階」ですがこの2音の差がとても大きいです。

6音階と言ってもベースとなっているのは「ペンタトニックスケール・5音階」というもので、もう1音はオクターブ違いの音。

この5音階というものが、どのように鳴らしても「音楽的に成り立つ」音の組み合わせになっています。

日本では「ヨナ抜き音階」などとも呼ばれます(ドレミファソラシドの4番目ファと7番目シを抜くのでヨナ抜き)。

一般的(ヨナ抜き)には「レミソラ」。

琉球音階になると「ミファソシ」。

マイナー調だと「レ#ファソラ#」。

プロパノータの6音タイプ(P6)の基本音階は琉球音階ですが付属のチューニング磁石により、上記の「ドレミソラ」「レ#ファソラ#」どちらへも簡単に移行することが出来ます。

基本音階を一般的なヨナ抜き音階「ドレミソラ」に設定してしまうと、マグネットを使った他の音階への移行が出来なくなってしまいます。

もちろん「ドレミファソラシド」の8音タイプで上記の「ドレミソラ」だけを使い演奏すれば同じことかもしれません。

しかし2音とはいえ使わない音があるとどこか窮屈感を感じます。

特に気を遣わずに自由に演奏したい場合には、なおさらそのように感じるのではないでしょうか。

その点を比べると6音階タイプのものの方が断然心地よく自由に演奏できます。

私のようにリズムを中心に考えると、余計な音はない方が良いと思います。

その一方で「ゆったりした癒し的」な演奏では、その異分子的な音も問題なく取り込みことが出来るので必ずしもマイナスの作用とは言えません。

また、8音階の中から5音を選んで演奏する場合、意図的に「使わないはずの音」を使うことがとても有効なケースもありますので「デメリットだけ」とは決して言えませんが。

ですが、音が増えるだけで再現性の難易度は上がるかもしれません。

つまり「この音のつながりが良かったからもう一回」と思っても、組み合わせが増えるので忘れてしまう可能性が高くなるということです。

そもそもが「曲の演奏」以外の場では即興性が高いので、どんな音のつながりだったかなんてすぐに忘れてしまうものです。

もう一つ、音そのものに関して言うと6音階タイプの方が、「1音1音の輪郭がよりはっきりしている」ということが挙げられます。

たった2音多いか少ないかでそこまでの違いがあるのかと言えば、私の思い込みかもしれません。

実際には大きな違いはないかもしれませんが、そう感じるということは事実です。

プロパノータのような楽器を旋律打楽器といいます。

要するにメロディを奏でることが出来る打楽器ですね(木琴や鉄琴と同じ)。

ほとんどの方は音階があれば次は「〇〇の曲は出来る?」という興味を持つと思います。

私も高校生のころギターを始めた友人に「ドレミファソラシドは?」「曲弾ける?」という質問をしたことを今でも覚えています。

メロディを奏でることが出来る楽器としてはそれが一番わかりやすいですからね。

確かにお一人で演奏するのであれば好きな曲を練習してマスターするということは。わかりやすい目標となり上達も実感できて楽器習得の醍醐味を体感できるでしょうね。

しかし私自身の考えとしては、音楽(に限らんが・・)は出来れば人と一緒にやる方が何倍も楽しい。

そしてその場合はプロパノータは脇役としてメインを支える側に回るのが一番効果的。

ギターの役割よりもベースの役割が好き。

そんな楽しみ方をしたい人は特に6音階が最適です。

私は6音階タイプのプロパノータをオススメしていますが、もちろん「ドレミファソラシド」タイプも、さらにその2オクターブ入りの15音タイプもご要望に応じて製作しています。

最後に繰り返しになりますが、

「重要なのは音の数」ではなくて「どんなことをして楽しみたいのか」

その点をつかんでおくことが大切ですね。