見逃しがちなサイズ感

「金属製のスリットドラム(タングドラム)が欲しい!」と思いたって調べてみても、大半はネット上での販売。

現物に触れてみての「直感」は非常に大切な要素ですが、楽器屋さんに置いてあるケースはごくわずか。

そんな中で、購入する際に実感しにくいサイズ感(直径・高さ・重量)について触れてみます。

 

「自宅で使うだけだからサイズはどうでもいいかな」という方もいるかと思いますが、いろいろな場所に持ち出してみることもあるかもしれませんし、ぜひ持ち出してみてもらいたいと思います(その際にはサイズ感は重要ですよね)。

 

まずは「直径」から。

直径の違いがどんな差を生み出すかと言えば「音量」になります。

 

小さいものでは直径10センチほどのものがありますが、これらはちょっと別の区分けになりそうですので除外します。

平均的には直径20センチ~になります。

20センチ前後のものですと低い音はちょっと物足りないと感じるか、もしくは「グワァァァン」と鐘のような音色になるかもしれません。

やはり低い音はボディサイズによるところが大きいのですが、全体的なサイズの大小よりは「直径」の方が低音への影響は強いと思います。

高い音に関してはボディが小さい方が出しやすい点はありますが、低音ほどの影響はないかな、というのが製作を続けてきての実感です。

 

直径が「30センチ近くで音の数も多い」というタイプもありますが(主に中国製)、その場合には重量を見ることが大切です(重量に関しては後半でご説明しています)。

 

実用的なサイズとなると25センチ程度がバランスが良いかもしれません。

 

サイズが大きくなることの一番の違いは「生音の音量」と言いましたが、当然ながらサイズが大きくなれば生音が大きくなります。

しかしこれは「瞬間的な音の大きさ」ということよりも「余韻が長く」なることで「音が大きいと感じる」のかもしれません。

また、音の高さによって聞こえやすさも変わりますので、数値的なデータではなく感覚からの印象です。

 

いずれにせよ、金属製のスリットドラムは決して「音が大きい」楽器ではありませんし「大音量で鳴らす」ことが適している音色でもありません。

「優しく鳴らす」ことが演奏の大前提ですので、直径が20センチを超えていれば「音量は必要にして十分」だと思います。

もちろん他の楽器との演奏や内容など、演奏環境次第ではマイク使用が求めれらることは十分あるでしょう。

 

次は楽器の「高さ」について

これは特に重要ではありません。

 

唯一気にする点は2台3台と並べて演奏する場合のみではないでしょうか。

そういった場合には同じ程度の高さの楽器を並べる方が演奏しやすいですね。

もっとも、ゆったりとした演奏であればほとんど問題はありません。

複数台に渡って素早く手の移動が求められる場合にのみ「ちょっと演奏しにくいかも」程度でしょうね。

複数台をまたがずに、右手左手で演奏する楽器が固定されているなら問題ないです。

 

高さが違うと手の水平移動だけでなく、垂直移動も加わりますね。

さらに素早い移動だとそれだけスピードも付くので、「鳴らし方の力加減」を揃えることにも注意しなければならない、ということです。

演奏内容はケースバイケースですので、繰り返しますが「高さ」に関してはさほど気にする必要はないでしょう。

 

高さが違う2台

 

最後に重量。

目に見えない点なので軽視されるかもしれませんがちょっと気にしてみましょう。

 

「金属製のスリットドラム」ということは素材は何らかの金属。

大半は「鉄」。あとはステンレスや合金などもあるようです(アルミ製もスガイ打楽器にはありますが例外的)。

鉄素材の厚みは大雑把に1ミリ、2ミリ、3ミリと規格があります。

スガイ打楽器では通常2ミリを使っています。

 

素材が厚くなれば音が太くなり、薄ければペラペラした音になるというのは経験上なんとなくイメージしやすいですよね。

当然、厚みが増せば重量も増します。

直径22センチ、それぞれ厚み2ミリと3ミリで作ったプロパノータの重さは2ミリが約1,5kgで、3ミリは約3kgでした。

ザっと倍の違いがありますが、この違いは結構大きいです。

響きに違いはありましたが、重さをひっくり返すほど魅力の差は見いだせませんでした。

 

一方「薄い素材」には良い点もあり、それは「音の余韻が短い」ということです。

個人的には短い余韻は好きなので、私には好きな音と言えます。

特に「曲演奏」を中心の考えの方には良いかもしれないです(余韻が長すぎると音がどんどん重なってしまいますでね~)。

 

製作を始めた15年ほど前、百均のダイソーさんで直径20センチの「中華鍋」と「フライパン」(どちらも鉄製、厚み1ミリ)が売っていました。

「プロパノータの廉価版を作ろう」と思い、各100個前後買って試作を始めました。

材料費も一つ100円なのでじゃんじゃん実験し、ほとんどすべてを失敗しながらやっと出来るようになってきたころにはダイソー販売終了。。。当時はまだいろいろな面で技術不足でしたからね。

薄い鉄板だからちょっとしたことですぐ歪んだりしちゃってたよ。今なら技術も上がってるだろうし、上手く出来たかもなぁ。

音の余韻が短く「ポクポク」とした音が可愛らしく意外とよかったんですけどね。。。

 

下の画像の壁にかかっているブツがそれです(昔のブログに残ってた)。

プロパノータとたてたかこさん

 

楽器製作者としては何よりも「音の良し悪し」を基準にするべきかもしれませんが、現状でもとても美しく、若男女不特定の方にとり「扱いやすい」という点を重視しています。

 

以前、渋谷のイケベ楽器でフランス製のスリットドラム「beatrootで遊んでみました。

見た目がスタイリッシュなので「さすが、おフランス」と思っていましたが実物に触れたのは初めて。

「音はそれなり」といった感じで特に想像を超えるものではなかったかな。

試しに持って見たら「お、重い・・」。ズシリとした重量感を感じました。

調べると重量は5kgを超えているようでした(素材厚3ミリだろうね。直径も25センチ以上あったと思います)。

 

やはり、持ち運びなどを考えるとあまり重いものはイヤだなぁというのが実感です。

 

さて、そこで重要な点です。

直径が30センチ前後あったとしても重さが5kg未満の場合、「素材が薄い」か、もしくは「合金」である可能性が高いと思います。

素材が鉄でも合金でも良いですが、どちらにせよ厚みが薄い場合「すぐに音が狂う」可能性があります。

 

海外製品や量産物の中国製品が大半を占めている金属製のスリットドラム。

「音が狂った」と言っても、おいそれとは修理、再調整には出せないかもしれません(そもそもアフターサービスしてくれるのか・・)。

 

その点を含めて見極めませんと、せっかく「やってみよー!」と思い立った気持ちがしぼんでしまうかもしれません。

それは一番残念なことです。。。

 

*「音の狂い」に関してはまた別の記事でご説明します。