音の良し悪し!!!

「金属製のスリットドラム(タングドラム)」に「音の良し悪し」はあるのだろうか????

 

これは「無いです!」と言い切りたいのですが、実際にはショボい音もありますよね。。。

 

それはナゼか?

私の答えは「楽器としての制約があるからです」。

 

具体的に言えば「音数」「音階」「KEY」を無視することが難しいからです。

加えて見逃せないのが、「素材の厚み」。これは「音色」に影響してきます。

 

まず素材と構造的に「金属製のスリットドラム・タングドラム」は「きれいな音」が響くモノなんです。

 

例えば、円盤状の表面に一つの切込みを作った場合、細かなことを考えずにテキトーに切り込んでも良い音がします。

切込みの形状がきれいだろうが、ズタズタだろうが関係ありません。

金属の「コ~~ン」という音が鳴り、空洞のボディが音を豊かに響かせてくれるからです。

トップ画像の「風鈴」や「仏具のお鈴」のようなものです。

 

しかし「1音のみ」というケースはまずないですよね。少なくても6音。平均して8音は入っています。

 

こちらの画像の赤いシールの音は私がメインで作っている直径22センチのプロパノータの場合に良く響く音です。

 

 

左側の「ミレド」が悪いというわけではありません。低い音よりも「中高音域の音の方がよりクリア」ということです。

もっと高い音を出すこともできますが、切込みの長さで音を調節している都合上、高くなるほど切り込みが短くなるので演奏しにくくなってしまったり、より響かせるために「硬めのバチで強めに打つ」必要があったりで、私自身はあまり採用していません。

 

単純によく響く音だけを集まることは製作上問題ありませんが「楽器としての使い方」を考慮すると、やはり「音階に沿ったチューニング」が必要になります。

*打楽器奏者の中には敢えて音階から外れた音を好む方もたくさんいます。

 

この音階というのは私たちが学校で習った西洋音階で、簡単に言えば「ドレミファソラシド」です。

 

画像では左側の「ミレド」にはシールが付いていません。

響きやすい音を重視すれば「ファ」から始まる音階も良さそうです。

具体的には「ファ・ソ・ラ・シb・ド・レ・ミ」の組み合わせ。

それとは別に一般的なわかりやすさを優先すれば「ドレミファソラシド」。

響きでは「ファ」からですが、わかりやすさと汎用性では「ド」から。。。

 

まずこの辺りでどちらを優先するかメーカーは迷うんじゃないでしょうか。

「絶対音感」がなければ、どちらも「ドレミファソラシド」と聞こえますし、個人演奏に限るならそう思い込んでいても問題はないかもしれません。

しかし他の楽器と演奏したりする場合は、ちょっとややこしくなったり何らかの制約が出てきます。

 

仮に「ド」からの音階を選んだ場合、スタートの「ドレミ」の響きは楽器によっては「グワァァァン」のような響きになるかもしれません。

 

皆さんも「曲演奏の動画」でやけに「グワァァァン」って鳴るなぁってモヤモヤしたことはないですか??(ワイは基本モヤります)。

 

8音程度ならまだしも、これが15音とかになるとどうでしょう。

シールを貼った音は12音(画像右側が切れていますが続きのシ・ドにもシールが貼ってあります)、残りの3音をどれにするか?

この場合は低い「ミレド」を選ぶのが一番ですが、きらびやかに鳴り響くイメージを求めて高い音を選んだ場合、高ければ高いで響きが止まり「詰まった音」になりがちでちです。

黒い鍵盤から選ぶこともできますが、白い鍵盤と黒い鍵盤は音が近いため「濁った」印象を受けると思います。

 

その様な過程から良く響く音を100とすれば、「70~80くらいかなぁ」または「ちょっとイマイチ」という音も入ってきてしまうわけです。

そもそも「音域」というものがそれほど広い楽器ではないとうこともあります。

加えて良い点よりも悪い点の方が気になってしまうことも多いと思いますので、余計に気になりますね。

 

15音入る余白があっても「5音程度」にとどめることが出来ればハッピーですが、まぁそうはなりませんよね。。いかんせん人間は欲張りですから。。。。。。

どうしても「もっと入れよう」と思ってしまいますよねー。

 

今はそんなことはありませんが製作当初は私もそうでした。

今は音を増やすことは念頭になく、「全体での心地よさや、面白い響き」に目が向いています。

別記事でも書きましたが、ハンドパンなんかはそんな状態で「増やせや増やせ、音増やせ」的なものを感じます。

 

~素材の厚み~

 

音階面以外にも影響がありまして、それは「素材の厚み」です。

大半が素材には鉄を使用していると思います。

自社で鉄板をプレスしているのでなければ規格の素材を使うことになるでしょう。

これは大雑把に1ミリ、2ミリ、3ミリ~とあります(スガイ打楽器では主に2ミリを使っています)。

 

直径が30センチ前後でも重さが5kg未満の場合、1ミリ厚の素材を使っているかもしれません(または合金)。

何となくのイメージで構いませんが、「薄い」よりも「厚い」方がしっかりとした音が鳴る気がしませんか?

確かにその通りです。

薄いと音が「ペラッペラ」」になりがちです。音色も深みがなく余韻も短い。

 

工房にある薄い素材の中国製品とプロパノータを比較した場合、お客さんは決まって「全く別物ですね」と言います。

確かに音の質からも全くの別物ですが「どちらが良いか悪いか」は同様に全くの別問題です。

 

音の数を増やすため、ボディサイズを大きくするというのはもっとも陳腐なアイデアだと思っていますが、大きくなればグンと重くなる。

それを避けるために薄い素材を使用する。

そうすると特に低い音は「グワァァァン」感が強く出るのではないかと睨んでいます(推測で確かめたことはありません)。

「グワァァァン」音は避けたいんだよなぁ。。。

 

「高い音はどうなるか」って?

やはり「強めに打つ」ことになりますね。。。私としては「ソフトタッチで出る音」が良いのですが。

 

 

~よく耳にする「倍音」とは~

 

もっとも普通の高さの「ド」だと周波数は約261ヘルツ。これは1秒間に261回の振動が起きているということ。

もし絶対音感があるならば、1秒間に261回振動するものはすべての楽器、または楽器以外のものの音でも「ド」に聞こえるそうですね。

周波数が倍になると「1オクターブ高いド」になります。

ちなみによくテレビ放送終了時に「ピーッ」って音が流れますが、あの音は確か「440ヘルツ」で「ラ」の音なんですって。

 

そして楽器の音は純粋にその音の周波数(純音)だけが鳴っているわけではなく、他の音の周波数も交じっていて、そのためにとても豊かな音に聞こえるということです。

 

「倍音」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その「倍音成分がとても大事」ってことですね。

「倍音」というくらいですから、「鳴っている音に加えて倍の高さの音も聞こえる」ということです。

例えば先ほどの「ド」の音であれば倍にした周波数「522ヘルツ」くらいの音も鳴っていたりもします。

 

この倍音をどのように調整するかが楽器製作者の腕の見せ所なんだそうで、「2倍音」だったり「3倍音」だったりの音を入れ込むそうです。

 

海外メーカーの中にはだいぶ昔から音板の中にさらに切り込みを入れ、倍音を調整しているメーカーもあります。

日本では美しい残響にこだわりを持っている「さざなみドラム」さんが同じようにしていますね。

 

私は残念ながらオクターブ上の「2倍音」しか調整できません。

 

まぁ目指している方向性はメーカー様々ですからね。

ユーザーの方も自身の好きなモノが見つかれば何よりだと思います。

 

金属製のスリットドラム(タングドラム)に限ったことではないのですが、打楽器類は構造が簡単で部品点数も少ないだけに音を調整するためにいじくれる箇所が少ない。

 

私としては日本食の職人さんみたいに、あまりゴチャゴチャと手を加えずに(丁寧にはやりたい)、「素材の持ち味」をうまく引き出せるのが一番いいと思っています。

でも、結局は毎日「なんかいい方法はないか?」と考えまくっていますけどね。。。それが楽しいし他に考えることがないというラッキーにも恵まれているのです。