スリットドラム(タングドラム)の音配置

金属製のスリットドラム(タングドラム)の音の配置は、メーカーにより様々です。

これは正直とても困ったことです。。。

特に曲の演奏をされている方にとっては、仮に他メーカー製.のものへ目移りしても、せっかく覚えた音配置と手順が応用できなければガッカリしてしまいますよね。

もし同じであれば新たな一台を手に入れることで世界が広がる可能性がありますが、断念してしまうことの方が多いのではないでしょうか。

 

音の配置のみならず「サイズ、音階、KEY、音数」などなど。楽器の仕様はメーカー次第。

 

この手の楽器がより一般的なるためには、楽器としての汎用性は重要ですが、なかなかそのような形にはなっていかないでしょう。

圧倒的ななリーディングカンパニーが現れ、少なくとも「定番的な1台」が生まれれば良いのですが・・・量産力では中国製品が圧倒的かもしれませんが、肝心の楽器としての質がね。楽器製作への哲学がなく、単に「売れればいい」では一過性のもので終わってしまいそうです。

 

ところでメーカーによっては「独自の音配置の設計により最上の響きを実現・・」などの説明があったりします。

「ソレ ホント??」

 

私の意見は「特に関係なし!」です。

 

少なくとも私が音の配置を決めた最初の経緯は「仕方なく」と「必然的に」という理由からです。

その後も試作や様々なご要望に応じた音配置で製作を繰り返してきましたが、「配置で大きく変わった」点はありませんでした。

こちらの動画でご確認できます。

 

ちなみに私が配置を決めた理由「仕方なく」と「必然的に」の理由ですが、まずは「なぜ仕方がなかったのか」。

 

ボディに切込み(スリット)を入れ、そこを打つことで音を鳴らす「スリットドラム」は音の高さはその切込みの長さにより決定されます。

切り込みが長くなれば音が低くなります。

下の画像を時計に見立てると、6時の位置にある「ド」が一番低い音ですので切込み長さも一番長くなります。

 

四方に散る音板

 

その隣5時の位置に「レ」が来るとボディサイズによっては入りきらないんですよね。

そのため、まずは切込みが長い順に四方に音を散らすことになりました(仕方ないね・・)。

そしてその間に順に音を入れ込んでいけばこうなるわけです(ね、必然でしょ)。

 

ボディサイズや音の数により音配置は変わってしまいますが、基本ルールにのっとり「下から順に交互に上がっていく」形に落ち着いています。

 

音があっちこっちに散っていると「音の配置を覚えるのが難しそう」という意見をよく聞きます。

そんなご要望からピアノのように横並びで作ることもあります。

 

音板ピアノ配置
ピアノ配置

 

イメージ的に横並びの方がわかりやすいと感じるかもしれませんが、音板が四方に散っていてもすぐに覚えられますし、横並びでの不都合もあります。

例えば右手一本で演奏するのなら横並びだととても分かりやすいのは事実ですが、両手で演奏するとなるとやりにくいと感じます。

ある程度、右側左側に分かれていた方が「運指」ならぬ「運手」がしやすいと感じます。

 

なかなか楽器店で直接選べるまでに至らない楽器のため、多くの方はネット上で実物を手に取ることなくご購入されているでしょう。

そうなるとどうしても価格の安いものに手が伸びがちですよねぇ。。。どんなものか確証が持てないし失敗したくないし。

致し方ないことですが、比較選択が出来ないのはイタイところです。

判断材料となる動画などでは実際の音が加工されているケースも多いかと思います。

(スガイ打楽器では音の加工は一切していません。。というよりも古いアイフォンでマイクもつけずにただ直撮りしているだけなので、本来はもう少し気を使うべきですねぇ。。)

そんな条件の下で選んだものが「イマイチだった。買い替えよう」となったとして、そのたびに楽器の仕様が変わったんじゃ眩暈がしますよ。

 

「どンな配置が良いか??」そんなものありません。「慣れたものが一番いい」に決まってます。

 

配置云々よりも気になるのは製品によって「音板に番号が振ってある」ことです。

個人的にこれはあまりよくないと思っています。

 

以前中国製のスリットドラムを持参して工房に来られた方がいました(数字が振ってあったかどうかは覚えていません)。

その方はメーカー作成の演奏動画を完全暗記しての曲演奏を楽しんでおりました(とても良い感じで演奏していましたよ!)。

 

ある時に私が「ドの音を出してみて」と言ったら「どれがドなのかわかりません」と。

「えぇぇぇぇぇ~、そうなの~~!?」と私はビツクリしてしまいました。

 

動画を丸コピしていたので、どれが何の音かなんて一切考えなかったそうです。

 

ま、別に良いと思いますよ。人それぞれの楽しみ方がありますし。

ただ、もし他の楽器などと演奏することがあればそれではちぃッと困りますね。

 

同じように音ではなく数字で覚えていたら、似たようなことが起こるのではないでしょうか(数字なら低い方から順番になっているからわかると思うけど)。

楽器によっては「数字譜」というものもあるので、便利と言えば便利かもしれませんけどね(数字くらいなら自分でシールでも貼った方がいいんじゃないかな)。

 

多分音で流れを感じる方が良いのではないかなぁ。。。と楽譜の知識もなければ曲の演奏もたいしてできない私がのたまわっております。

 

きらきら星が「ドドソソララソ~」ではなく「1155665~」になるんでしょ。。ま、別に良いと思いますよ。人それぞれですから。

 

ちなみにスガイ打楽器ではお好きな音配置はもちろん、お手持ちのスリットドラムの音配置に合わせての製作にも対応しておりますので、ご要望があればお気軽にご相談ください。

 

 

15音階タイプ(中央以外は同じルール)
音名(アルファベット)+数字

 

ちなみによく同じようなグループに混同されるカリブ海生まれのドラム缶楽器「スチールパン」の音配置には「5度圏」が使われているんじゃないかな。これにより音の響きが美しくなるんだそうです。

正確な分類では別の種類になり、音の発生原理も違うからかスリットドラムにはこの5度圏はさほどの効果はありませんでした。