金属製のスリットドラム(タングドラム)の音階について。
そもそも「音階とは何ぞや?」ということですが、要するに「その楽器の音の組み合わせ」みたいなものですかね。
同様に「Key」ということも考慮に入れたいところですが、「Key」に関しては別の記事にてご紹介します(音階よりも音の高さのKeyの方が重要かもしれません)。
私の結論としては「特に気にする必要なない」です。
理由は主に2つ。
①音階自体はたくさんあるものの、大別すれば結局明るい感じの「メジャースケール」か、暗い感じの「マイナースケール」の2種類になるということ。
②メーカーの大半が個別の音階製作に対応していないということから、つまり「あるものを購入するしかない」ということです。
音階としてもっともわかりやすいのが「ドレミファソラシド」ではないでしょうか。
これを日本では「ハ長調」と呼び、アメリカ式では「Cメジャースケール」と呼ばれるそうです。
「ドレミファソラシド」はイタリア式。
各国の呼称
イタリア | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
日本 | ハ | ニ | ホ | ヘ | ト | イ | ロ | ハ |
アメリカ | C | D | E | F | G | A | B | C |
「長調」や「メジャースケール」は明るい感じの音階。
その対になるものとして「短調」「マイナースケール」の暗い感じの音階。
この2つの音階が代表的ですね。
「明るい感じ」「暗い感じ」といわれると、「せっかくなら明かり方がいい」と思われるかもしれませんね。
私もずっとそう思っていました。
しかし「暗い」といわれるマイナースケールは決して暗いわけではなく、むしろ落ち着きがありメジャースケールよりもよほどこの楽器の雰囲気には合っていると思うようになりました。
メジャーとマイナー、それ以外にもブルーズやスパニッシュなどなどあり音階は多種多様。
金属製のスリットドラムが登場したときに「ピグミー音階」というものをよく目にしました。
これは製作メーカーオリジナル(またはハングドラム)の音階のようで「アフリカ的な雰囲気」を強調したのだとか。
一般的な音階表に載っているような古典的な音階ではないようです。
スガイ打楽器では「音階」や「KEY」の変更は無料で対応しています(対応可能な範囲内にて)が、メジャースケールをマイナースケールに移行する程度であれば付属のチューニングマグネットで対応できます。
「曲の演奏」を主体にお考えの方はメジャースケール(要するにドレミファソラシド)であれば問題はないでしょう。
「シャープやフラット」のいわゆる「半音階」もスガイ打楽器では別途製作しています。
2台並べて演奏すれば曲演奏の幅はかなり広がりますが、初めはメジャースケール一台で問題ないと思います。
「自由に音を鳴らして楽しみたい」という方にも特に音階について悩む必要はないと思います。
繰り返しになりますが、プロパノータではチューニングマグネットで音を変えることが出来ますので、お好みに応じて音を変えてしまえば良いのです。
「音階表」の一例を載せてみますが、ご覧のように多岐にわたります。
あまり深く考えずに基本音階を「メジャースケール」にして、あとは「場合によってマグネットチューニングで半音を作る」くらいがちょうどよいかと思います。
逆のパターンで基本音階を「マイナースケール」にするのはちょっといただけません。
もしマイナースケールをメジャースケールに移行する場合、すべての音を変えるくらいの大袈裟なことになりますので。
音階の一例
メジャースケール | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
マイナースケール | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ハーモニックマイナー | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
イオニアン | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ドリアン | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ディミニッシュ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | ラ | シ |
スパニッシュ | ド | レ | ミ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
アラビック | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ハンガリアン | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
ヒンズー | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
赤字はいわゆる「#、b」が付く半音というやつ。
#(シャープ)が付いて半音上がる、b(フラット)が付いて半音下がる、で大きな違いがありますが(例えばラの音に#が付いて半音上がればシに近くなりますが、bが付いて半音下がればソに近くなりますからね)、赤字は単にこの音が変わるというのを示しただけです。
これはスタートの音が「ド」ですが、このスタートの音が「レ」であれば音の組み合わせは変わっていきます(これがKEYということですね)。
ややこしいのは単純に「レミファソラシドレ」のようにならず、ケースバイケースで「#、b」が登場する点ですね(それはある種の規則性があります)。
傾向としてスリットドラムの音階には明るい感じの「長調」「メジャースケール」よりも、暗いと言われている「短調」「マイナースケール」を採用しているメーカーが多いように思います(主に欧米メーカー)。
これはこの楽器の響きが「ヨガ、瞑想、ヒーリング」を連想させることと関係があるのではないでしょうか。
一方で最近増加中の中国製に関してはメジャースケールが多いかもしれませんね。
曲の演奏ではなく音のイメージを重視している欧米と、売るためにわかりやすい曲演奏でアピールする中国系と言えるのかも。
スリットドラムも、例えばサイズを大きくし、音板を小さくして20音ほどを一台に入れ込むことも可能かもしれません。
その結果「なんでも対応可能だよ~」となったとしても、音が増えたために各音の輪郭がボヤけてしまったり、演奏が複雑になったりするだけかもしれません。
私は逆に「コレしかできない」「コレで十分」というように、奏者が割り切って音を楽しめる方が良いかなとも思っています。
繰り返しますが、プロパノータでは音を変える(低くする)ために、チューニング用マグネットが付属します。
理論的には音階そのものを高い音に設定してマグネットチューニングで音を下げれば様々な音に対応できます。
しかしこれはあくまで「理論的に言えば」のお話で、実際には磁石の取り付け位置を整理するのはかなり面倒ですし、そこまで磁石を付けまくって響きへの影響がないと断言することは出来ません。