打楽器としてのタングドラム、理想の音数は?

タングドラムは何音あれば良いのか。
この問いは、まず「どんな役割で使うのか」を考えないと答えが出ません。

 

メロディ主体であるならばたくさんの音が必要。

リズムやフレーズ演奏なら数音でもじゅうぶん。

 

そして私は完全な後者で、少ない音数でじゅうぶんという意見です。

 

私の考えではタングドラムは主役になる楽器ではなく、主役を引き立てる楽器として方がそ捉えた方がその特性を活かせます。

これは一人で演奏するか、他の楽器とも演奏するかという視点も加わり、その点においても私は後者ということです。

多くのタングドラムは6音や8音、あるいはそれ以上の音数を持っています。
しかしその音数で、メロディをしっかり演奏できるかというと、実際には難しい。

音域も限られ、半音もなく、フレーズの自由度は高くありません。
つまり中途半端に音数があることで、「メロディを弾けそうで弾けない」状態になりやすいのです。

では、この楽器はどう使うのが最も活きるのか。

それは、繰り返しのパターンを作ることです。

例えば3音、あるいは4音。
その限られた音を使って、リズムと響きのループを作る。

この使い方であれば、タングドラムは非常に強い楽器になりますし、打楽器奏者にしてみれば得意な奏法ですよね。

 

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動画はノイズモデル「PW」なのでちょっと極端な例ですが。。

音が少ないことで、フレーズはシンプルになり、
その分、リズムや間、強弱といった要素が前に出てきます。

結果として、他の楽器の邪魔をせず、
むしろ全体のグルーヴや空気感を支える役割を担うことができます。

打楽器の現場では、こうした役割は珍しいものではありません。
むしろ「前に出ないこと」が求められる場面の方が多い。

その中で、タングドラムは
音程を持った打楽器としてのテクスチャを加える存在になります。

ここで音数が多すぎると、問題が出てきます。

音が多いと、どうしても動きたくなる。
フレーズを変えたくなる。

しかしそれをやるほど、演奏は主役に干渉し始めます。

打楽器の役割として、一定の音とリズムにより「安定感」を生み出すことも重要です。
リズムは変わらずとも音がクルクル変わっては、結果として全体のバランスが崩れてしまう。

タングドラムの強みは、「控えめであること」です。
音数が少ないほど、その強みは活きてきます。

3音程度でも十分にリズムは作れますし、
むしろその方が安定したループになります。

4音あれば、少し変化をつける余地も生まれます。
それ以上になると、伴奏としてはやや過剰になりやすい。

重要なのは、「どれだけ音を出せるか」ではなく、
どれだけ全体に対して適切な位置にいられるかです。

ここで「音数が多くても使わなけえば良い」という考え方も出てくるでしょう。

それはその通りです。

しかしそれには2つの問題があると考えています。

ひとつは「演奏中の迷い」。

もうひとつは「音の輪郭がぼやける」ということです。

音が多いからと楽譜に沿った演奏をする場合、タングドラムは音配置が独特なので一瞬迷うこともあります。

それはまた、即興的な演奏においても同じです。

選択肢が多ければそれだけ複雑になり、一瞬でも迷えば致命的です。それは避けたいですね。

もうひとつの「音がぼやける」は、楽器の構造上の問題です。

タングドラムはひとつの音を鳴らせば楽器全体が振動し、他の音成分も混じります。

つまりたくさんの音があればそれだけ混じりの成分も増え、長い音の余韻も相まって角音の輪郭があいまいになる可能性が高まります。

この点はゆったりした演奏であれば強みとも言えますが、その場面でしか使えないのであればマイナスポイントだと思っています。

繰り返しになりますが、タングドラムは、主役として目立つ楽器ではありません。
しかし使い方次第で、全体を引き締める非常に重要な役割を担うことができます。

そのための音数を考えるなら、
多くを持つ必要はありません。

むしろ制限された音の中で、繰り返しとニュアンスを積み重ねる。

そんな使い方がこの楽器の本来の良さは引き出されますし、奏者の個性も現れると考えています。

私は他の楽器との演奏を前提としてタングドラムを設計しています。
だからこそ、音数は少ない方が良いと考えています。

実際には6音以下でもじゅうぶんに成立すると思っていますが、やはり作るとなると3音、4音では「もったいない」と考えてしまう自分がいます。

もし少ない音数での製作希望の方がおりましたらお気軽にご相談ください。

価格もリーズナブルになりますし、そのような大胆な方のお手伝いが出来る事はとても嬉しい気持ちになりますね。