音が狂った実例④

音が狂った実例:野生ドラマー ずーさん

音が狂った実例として、最後は友人の「野生ドラマー」ずーいちさん(以降「ずーさん」と表記します)。

*ずーさんは隣町に住んでいるので頻繁に遊びにも来てくれます。

友人なので、細かな記録までは残っておらず、お互いの記憶をもとに書いています。


ずーさんの活動と使用状況

ずーさんはTikTokerとして、自作のパイプドラムのライブ配信を行っています。

また「おはよう配信」として、ほぼ毎朝、プロパノータの演奏をフォロワーさんにお届けしています。

現在、ずーさんが使用しているプロパノータは3台。
P6、パルマ(手のひらサイズ)、そしてもう一台のP6です。

今回の記事では、最初のP6に狂いが出たところからの経緯を中心に書いていきます。
(なお、3台目のP6も最近狂いが出ています)


最初のP6の仕様

・使用モデル:「P6」(6音階のプロパノータ)
・使用頻度:高(毎日)
・演奏スタイル:即興

直径22cmのスタンダードモデルではなく、ひと回り大きい直径25cmモデル。
素材の厚みも通常の2ミリから、上半分のみを3ミリにしたカスタム仕様です。


購入後〜最初の狂いまで

購入後、半年〜1年ほど経った頃から、毎朝の「おはよう配信」を行うようになりました。

その後、音に違和感が出てきて、
「調子っぱずれになった」ということで計測してみたところ、実際に音が狂っていました。

狂い幅は、他の事例と同じく
半音程度のものから、多いもので1音程度。
狂っている音も複数あったはずです。


初回の対策

対策として、

溶接 → 研磨 → 再塗装 → 仕上げのチューニング

という、通常の修理工程を行いました。

ずーさん曰く、
「何も考えず、結構ガンガン叩いていた」とのこと。

元々、そして現在もドラマーですので、完全に“打ち組む系”の人です。


再発と2回目の調整

修理後、しばらくして再び音の狂いが出ました。

感覚としては、
「前回よりも、狂いが出るまでの期間が短かった」
とのことでした。

*この狂いが、1回目の調整からどの程度の期間で起きたのかは不明です。

2回目の調整では、再溶接の効果が短期間になる可能性が高いと判断し、
全体の音を下げる方向での調整を行いました。


事故による狂い

その後、さらにしばらくして再び狂いが出ました。

これは本人も、そして私自身もその瞬間を目撃しています。

ずーさんが台東区で開催されたフェスに出演した際、
持ちネタであるパイプドラムの演奏の合間に、プロパノータも挟み込もうとしました。

その一発目で、マレットの先端のゴムがすっぽ抜けてしまいました。

取りに行くわけにもいかず、
そのまま金属部分で強打を繰り返したため、結果的に音が狂いました。

あれには爆笑したよ。。どっか抜けてる人なんだよね。

 

「なぜマレットのゴムが抜けたのか??」

 

ゴム先は取ろうと思ってもグイグイ引っ張らないと取れません。

 

あとでわかったことは、マレットのゴム部付近が変形していたということです。

ずーさんは、通常の音色を響かす以外に「マレットの金属部分で音板以外を叩いて音を出す」奏法を多用しているので、それによりマレット先端付近が歪んでいたのですね。

おそらくはそれがすっぽ抜けの一因だと思われます。

マレットの持ち手部分はアルミ製です。鉄やステンレスと比べアルミは柔らかいので変形する可能性も高いですね。


3台目P6とパルマの状況

その後、3台目のP6にも狂いが出ました。

一方で、もう一台のパルマ(手のひらサイズ)は、使用頻度がそこまで高くないためか、現在のところ狂いは出ていません。


3台目P6の仕様と経過

3台目は、同じく直径25cmサイズの6音階モデルに、以下のカスタムを加えて製作しました。

・表と裏面に同じ音を作り、共鳴的に「フワァワァ~ン」という響きが出る構造
・素材の厚みを上下とも3ミリ

これは昨年5月に納品済み。

おはよう配信は現在も継続中で、3台目になり約10カ月が経過しています。

 
 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

スガイ打楽器製作所(@sugaiperc)がシェアした投稿


楽器の耐久性についての考え

私としては、最低でも1年は持ってほしいと考えています。

例えば、私の母(80代)は60からの手習いでピアノを始めましたが、年に一回、調律師さんに依頼して音を再調整しています。

スティールパンの製作者の方も、学校などに納品したスティールパンを、年一回再調整しに行くということでした。

アフリカの打楽器ジャンベなども、年に一回皮を張り替えるとしても、そこまでの高頻度ではありません。

そのような事例から考えても、1年持てば十分合格ラインだと考えています。


使用者と製作者の責任

3台目については、ずーさん自身が
「音板を自分で切り、全体の音を下げる」
という再調整を試す予定です。

ずーさんは
「俺、つい強く打っちゃうんだよねぇ」
と反省していました。

ただ、楽器製作側としては、
「それは製作側が何とかする問題」
という捉え方をしています。

タングドラムは優しく打つことで良い音が引き出せますが、
実際に使うのは使用者さんです。

気分が盛り上がった中での打ち込みを禁止する、という考え方は、正直つまらない。

私自身も、ずっと構造上の弱点対策を検討し続けてきましたが、
ようやくひとつの指針を見つけることが出来ました。

その点については、別の記事でお伝えします。