タングドラム「やっぱり音の余韻は長い方がいい?」

タングドラムはもともと余韻の長い楽器

タングドラムの余韻についてですが、そもそもタングドラムは余韻が長い傾向にある楽器です。

ですので、特別に長い余韻を求める必要は、さほどないのではないかと考えています。

余韻が長いことにはメリットがありますが、使い方によってはデメリットになることもあります。

実際には余韻の長さだけでなく、楽器全体の音の印象や雰囲気が、自分に合っているかどうかを重視した方が良いと思います。

 

ゆっくり鳴らすなら、長い余韻は魅力になる

とてもゆったりと一音一音を鳴らすのであれば、やはり余韻が長い方が味わいもありますし、その響きにうっとりすることも多いと思います。

一音を鳴らしたあと、その音が静かに消えていくまでを味わう。

そのような使い方では、長い余韻はタングドラムの大きな魅力になります。

 

音を重ねると、余韻が邪魔になることもある

その反面、次々と音を重ねていくような使い方では、余韻もどんどんと重なっていきます。

そのため、それぞれの音の芯や輪郭が、はっきりしなくなることもあります。

特にリズムを刻んだり、少し速いテンポで演奏したりする場合には、余韻が長すぎない方が扱いやすいこともあります。

もちろん、どの程度の余韻が合うかは用途によって変わります。

ただ、タングドラム自体がもともと余韻の長い楽器ですので、その長さだけにあまりこだわる必要はないと思っています。

私自身はリズム的な奏法も多用しますので、どちらかといえば、あまり余韻が長すぎないものが好みです。

 

余韻の長さと、響きの印象は別のもの

ここで少し分けて考えたいのが、「余韻の長さ」と「響きの印象」です。

音が長く残るからといって、必ずしも響きが豊かになるとは限りません。

反対に、余韻そのものはそれほど長くなくても、ほかの音との共鳴によって、音に厚みや広がりが感じられることもあります。

タングドラムの中には、表面だけでなく、裏面にも音板が作られているものがあります。

このようなモデルでは、表と裏の音が互いに反応し合うことで、片面だけに音板があるモデルとは違った響きが生まれます。

 

表と裏に音板があるタングドラム

表と裏の両方に音板があるタングドラムには、大きく分けて二つのパターンがあります。

ひとつは、表と裏に別の音階を作り、ひっくり返すことで音のイメージを変えるものです。

もうひとつは、表と裏に同じ音を入れ、共鳴効果を生み出すものです。

表と裏の音が互いに共鳴すると、音同士が溶け込むような響きになります。

共鳴がない場合と比べると、ややマイルドな印象になることもあります。

これは単に余韻が長くなるというよりも、音の響き方そのものが変わると考えた方が近いでしょう。

 

プロパノータで取り入れている共鳴効果

プロパノータの両面音階モデルにも、この共鳴効果を取り入れています。

ただし、その狙いは単に響きを豊かにすることではありません。

共鳴によってノイズの表情が揺らぐことを狙っています。

また、スタンダードな6音モデルのP6にも、裏面に一音だけ共鳴音を入れています。

すべての音に共鳴効果を入れると、どの音も似たような響きになりやすくなります。

そこで一音だけに共鳴音を入れ、その音にだけ現れる響きの違いを強調しています。

 

動画だけでは余韻を判断しにくい

なお、動画で聞く余韻は、録音場所の反響やマイクの位置によっても大きく変わります。

反響の多い場所で録音すれば、実際よりも余韻が長く聞こえることがあります。

反対に、音を吸収しやすい部屋では、余韻が短く感じられることもあります。

動画で長く響いて聞こえるからといって、必ずしも楽器そのものの余韻が特別に長いとは限りません。

 

ミュートすると、別の音の表情が生まれる

長い余韻をカットする、ミュートという方法もあります。

プロパノータには、ミュート用のキャップとして「スイミングキャップ」を付属しています。

ミュートすると、音は「ポクポク」とした木魚のような響きになります。

余韻を短くするだけでなく、音そのもののキャラクターも大きく変わります。

このような違った音の表情にも目を向けると、それまでとは別の楽しみ方が見つかりますので、おすすめの奏法です。

 

余韻の長さだけで選ばなくてもよい

余韻は、長ければ長いほど良いというものではありません。

ゆっくりと一音ずつ味わうのであれば、長い余韻は大きな魅力になります。

一方で、リズムを刻んだり音を重ねたりするのであれば、響きが残りすぎない方が扱いやすいこともあります。

また、同じような長さの余韻でも、共鳴の仕方や音の消え方によって、受ける印象は変わります。

余韻の長さだけを比べるのではなく、その音がどのように響き、どのように消えていくのか。

それを自分の好きな使い方と照らし合わせて選ぶのが良いのではないかと思います。