タングドラムとハンドパン、その違いは使う人にある?
今でこそ、タングドラムとハンドパンが混同されることは、ほぼなくなったと思います。
しかし10年ほど前は、結構混同されていたのではないでしょうか。
何となく形も丸く、音も癒やし的ですからね。
ただ、楽器としての分類はまったく別のものです。
ハンドパンは価格も高価なので、「ちょっと手を出しにくい……」。
そんなときに、似たような雰囲気のタングドラムが目に止まり、
「こちらはリーズナブル!」
ということで、タングドラムを手に入れる人も中にはいるでしょう。
異なる二つの楽器ですから、当然、その特徴にも違いがあります。
とはいえ、いまさら価格や構造、音量などを一つずつ並べることはしません。
その辺りは、単なるスペックの違いですからね。
私が感じる最大の違い。
それは、
「使う人のタイプ」
です。
ハンドパンを手にする人の目的は、比較的分かりやすい
ハンドパンユーザーの主な目的は、おそらく「演奏」です。
もちろん、音を聴いて癒やされたい人もいるでしょう。
部屋に置いて眺めたい人もいるかもしれません。
ただ、多くの人は動画などで誰かが演奏している姿を見て、
「自分もあんなふうに演奏してみたい」
と思うのではないでしょうか。
両手を使ってリズムを作り、低音や高音を織り交ぜながら、一つの流れを作っていく。
少しずつ練習して、演奏できることが増えていく。
人前で演奏したり、動画を投稿したりすることまで考える人もいるでしょう。
もちろん全員ではありません。
ただ、ハンドパンを手に入れた後に、どのようなことをしたいのかは比較的想像しやすいです。
タングドラムを手にする人の目的は、少し分かりにくい
対して、タングドラムユーザーの主目的。
これは、正直なところ、ちょっと分かりません。
少なくとも、演奏することだけが主目的ではないように感じています。
では、何のために手に入れるのでしょうか。
癒やされたい。
自宅で気軽に音を鳴らしたい。
楽器経験がなくても、きれいな音を出してみたい。
瞑想やヨガに使いたい。
子どもと一緒に鳴らしたい。
インテリアとして部屋に置きたい。
何となく音が気に入った。
おそらく、こうした理由が少しずつ重なっているのでしょう。
ハンドパンのように「演奏できるようになりたい」という一本の太い目的ではなく、もっと曖昧で、生活に近いところにあるのかもしれません。
一音だけ鳴らす。
何となく二つ、三つの音を繰り返す。
それで気持ちが少し落ち着く。
それだけでも十分に成立する楽器です。
そこがタングドラムの良いところであり、同時に、何のための楽器なのか説明しにくいところでもあると思います。
「上達しなくても楽しめる」は長所なのか
タングドラムは、楽器経験がなくても始めやすい楽器です。
マレットで叩けば音が出ますし、音階によっては適当に鳴らしても、それなりにまとまって聞こえます。
練習を積まなくても、買ったその日から音を楽しめます。
これは大きな長所です。
ただ、その反面、
「もっと上手になりたい」
「次はこれを演奏できるようになりたい」
といった目標を持ちにくい楽器でもあります。
最初から、それなりに良い音が出てしまう。
だからこそ、そこから先へ進む理由が見つかりにくいのかもしれません。
ハンドパンは、初めから思うような音が出ないこともあるでしょう。
しかし練習すれば、少しずつ音の出し方やリズムの組み方が分かってきます。
その上達の実感が、続ける理由にもなります。
タングドラムの場合、上達よりも、その日の気分で触れることの方が大切なのかもしれません。
楽器というよりも、生活の中に置いておく音の道具。
そんな捉え方をしている人も多いのではないでしょうか。
タングドラムは「演奏しない楽器」なのか
では、タングドラムは演奏するための楽器ではないのか。
もちろん、そんなことはありません。
リズムを作ることもできますし、音を重ねたり、ミュートしたり、さまざまな鳴らし方もできます。
私自身は、どちらかと言えばタングドラムを打楽器として見ています。
一音ずつゆっくり鳴らすだけでなく、もう少しリズム的に使ってほしいという気持ちもあります。
ただ、それをすべての人に求める必要もないのでしょう。
上手に演奏しなくてもよい。
一曲を完成させなくてもよい。
誰かに聴かせなくてもよい。
自分が音を鳴らし、その音を自分で聴く。
それだけで終わってもよい楽器です。
演奏することが目的のハンドパンに対して、タングドラムは「音と一緒に過ごすこと」が目的なのかもしれません。
少し大げさな言い方ですけどね。
AIに典型的な人物像を出してもらいました
ちなみにAIに、
「タングドラムとハンドパン、それぞれの典型的な人物像を出して」
と指示したところ、次のような答えが返ってきました。
タングドラムの人物像
佐藤さん・47歳・女性・会社員
仕事と家事で疲れることが多く、自宅で気持ちを切り替えられるものを探している。楽器経験はほとんどなく、「練習しないと音楽にならないもの」は避けたい。
YouTubeやInstagramでタングドラムの動画を見て、適当に鳴らしても心地よく響くところに惹かれる。夜に自宅で10分ほど鳴らしたり、休日にぼんやり音を聴いたりする使い方を想像している。
求めているのは、「楽器を上達すること」よりも、自分のために音を鳴らす短い時間。
ハンドパンの人物像
高橋さん・34歳・男性・フリーランス
音楽フェス、キャンプ、ヨガ、民族楽器などが好き。ギターや打楽器を少し触った経験があり、ハンドパンを演奏している動画を見て、「自分もあんなふうに叩いてみたい」と思う。
単に音を聴くだけでなく、両手でリズムを作り、身体全体で演奏することに魅力を感じている。練習して一曲のような流れを作ったり、友人の前やSNSで演奏したりすることも想像している。
求めているのは、音だけでなく、演奏体験や所有する満足感まで含めた趣味。
けっこう当たっていると思います。
もちろん、すべての人がこの二人に当てはまるわけではありません。
タングドラムを本格的に演奏する人もいますし、ハンドパンを一音ずつ静かに鳴らすだけの人もいるでしょう。
ただ、楽器を手に取る最初の理由には、少し違いがあるように思います。
ハンドパンは、
「自分も演奏してみたい」
から始まりやすい。
タングドラムは、
「この音を生活の中に置いてみたい」
から始まりやすい。
私が感じる両者の一番大きな違いは、その辺りです。
あなたは、どちらに近いでしょうか。