タングドラムのベストな音数?
これに関しては使い方に左右されますが、長年この楽器に携わってきたものとしては
「6音が最適!」とさせていただきます。
一般的には少ないもので6音から多くて15音といったところですよね。
まずはっきりさせておきますが、「何らかの曲の演奏」をメインとお考えの方には当てはまりません。メロディに最重要なのはまずは「音の数が揃っていること」です。
そういった方には現時点では最も多いと思われる15音モデルをお勧めします。
一方でメロディ演奏を主体に考えていない方には6音が最適と思っています。
その理由は「雰囲気だけで鳴らしても心地よく使えるから」です。
(実はこの点に大きな大きな落とし穴があるのですが、それは別記事)。
これは音の数とは別に「音階」という要素も関係してくるのですが、今回は音数のみに絞ってお話します。
仮にメロディ演奏を主体としていなくても、別に音の数が多いことは決してマイナスではないと思われるかもしれません。
確かにそうです。。。
また、ちょっとくらいはメロディ演奏もできる方が良いかな。。なんてこともチラッと浮かびませんか?
それもじゅうぶんにアリですので、そんな方は8音程度のものがいいかもしれません(この点に関しては別記事であえて極端に否定させていただきますのでね)。
さて。
音数が多いこと自体は、もちろん便利です。
鳴らせる音が増える。
音域も広がる。
組み合わせも増える。
数字だけを見れば、多い方が有利に見えます。
ただし、タングドラムは音が増えるほど、そのまま単純に「できることが増える楽器」でもありません。
音が増えるほど、響きも増える
タングドラムは、一音を鳴らして終わりではありません。
鳴らした音はしばらく残ります。
次の音を鳴らせば、その前の音と重なります。
音数が少ない場合、その重なり方もある程度限定されます。
ところが音数が増えると、組み合わせの数も一気に増えます。
それ自体は面白さでもありますが、音が次々と重なり、思った以上に響きが混み合うこともあります。
きれいに響く楽器だからこそ、音が増えすぎることで、かえってその「きれいさ」が分かりにくくなることもあるのです。
一音ずつの存在感は薄くなりやすい
6音であれば、ひとつひとつの音を覚えることはそれほど難しくありません。
この音は低くて重い。
この音は少し硬い。
この音は余韻が長い。
そんなふうに、一音ごとの違いが見えやすくなります。
音数が増えると、もちろん音の種類は増えます。
ただ、そのぶん一音ずつの存在感は薄くなりやすい。
音の違いをじっくり味わうというより、次から次へと音を選ぶ方向へ向かいやすくなります。
これは良し悪しではありません。
ただ、タングドラムの音そのものを楽しみたいのであれば、音数が少ない方が、微妙な音の魅力に気が付きやすくなるということです。
音数が多いほど、叩く場所も狭くなる
本体の大きさが同じであれば、音数が増えるほど一つひとつの音板は小さくなります。
当然、音板同士の間隔も狭くなります。
すると、
・狙った音の隣を叩いてしまう
・中央を外すと鳴りが弱い
・強く叩くと隣の音まで反応する
・低い音と高い音で鳴り方に差が出る
といったことも起こりやすくなります。
音が多いことは便利ですが、同時に一音ずつを均等に鳴らす難しさも増えます。
製作者側としても、音数が増えるほど調整箇所は増えますし、すべての音を同じような鳴り方にそろえるのは簡単ではありません。
6音は「少なすぎる」のか
6音と聞くと、
「それしかないの?」
と思う方もいるでしょう。
私も、数字だけを見れば少ないと思います。
ただ、実際に鳴らしてみると、6音でも組み合わせはかなりあります。
順番を変える。
強さを変える。
間を変える。
同じ音を繰り返す。
二つの音を交互に鳴らす。
音数そのものは少なくても、鳴らし方まで含めれば、できることは決して少なくありません。
むしろ、選択肢が限られているからこそ、その中でどう鳴らすかに意識が向きます。
音数が多い方が飽きにくい?
これも、よくありそうな考えです。
音が多ければ、いろいろ試せる。
だから飽きにくい。
確かに、そういう面はあります。
ただ、音数が多いことと、長く触れたくなることは別です。
音がたくさんあっても、その響きに特に惹かれなければ、次第に鳴らさなくなるでしょう。
逆に音数が少なくても、ひとつひとつの音に表情があり、鳴らすたびに少し違って聞こえるなら、長く付き合えることがあります。
結局、飽きるかどうかを決めるのは、音の数よりも、その楽器からどれだけ表情を感じられるかではないでしょうか。
音数は「多い方が上」ではありません
タングドラムでは、音数が多いモデルほど上位機種のように見えることがあります。
価格も高く、見た目にも賑やかです。
けれども、6音、8音、11音、15音は、単純な上下関係ではありません。
音が多いほど有利な部分もあります。
少ないからこそ生まれる良さもあります。
私が6音を勧めるのは、簡単だからでも、製作が楽だからでもありません。
音の数を絞ることで、一音ごとの響きが見えやすくなり、音が重なりすぎず、楽器全体の表情を味わいやすいと感じているからです。
もちろん、6音がすべての人に最適だとは思っていません。
ただ、
「多い方が得なのでは?」
という理由だけで音数を選ぶのであれば、少し立ち止まって考えてみてもよいでしょう。
音数は、楽器の能力を示す数字ではありません。
その楽器を、どのような密度で鳴らしたいか。
その違いだと思っています。