金属製のスリットドラム(タングドラム)の音は狂います
楽器と長く付き合うためには
金属製のスリットドラム(タングドラム)は、時間とともに音が変化することがあります。楽器と長く付き合うために大切なのは、適切なアフターフォローを受けられるかどうかです。
スガイ打楽器での音の再調整について
当工房では、音の再調整を一律 8,000円(工房までの片道送料はご負担願います)で承っています。
再調整の内容には、すべての音の確認・調整および塗装仕上げが含まれます。
なぜ音が狂うのか?
スリットドラムの音は、音板(スリット)の長さによって決まります。表面的には長さが変わらなくても、内部では変化が生じることがあります。その主な原因は「金属疲労」です。
演奏時、音板を叩くことで振動が発生し、その振動は音板の根元部分が支えています。この部分の弾性が徐々に低下すると、音が下がる傾向にあります。
また、演奏方法によっても影響を受けます。強く叩くと音板の根元に大きな負荷がかかり、音の狂いが早まる可能性があります。そのため、
- 優しく打つ
- できるだけ小さな音で鳴らす
といった奏法を推奨しています。これは単に楽器の寿命を延ばすだけでなく、「芯のある美しい響き」を引き出すためにも重要です。
狂った音を戻す方法
音の調整にはいくつかの方法があります。
- 再溶接して再調律する(推奨)
- 切り込み部分を再溶接し、元の状態に戻した上で再調律を行います。
- これにより、安定した音を取り戻すことができます。
- ただし、再塗装が必要になるため、手間が増えます。
- 切り込み部分の先端を削る
- これにより音を高くすることはできますが、あまり推奨しません。
- 削ることで音は戻りますが、再び狂った場合にさらに削る必要があり、最終的に先端部分が薄くなりすぎてしまう可能性があります。
- ご自身で全体の音を下げる方法
- 金ノコを使って切り込みを長くすることで、全体の音を下げることができます。
- 特別な道具は不要で、ホームセンターや100円ショップで購入できる金ノコで作業可能です。
- スマホの無料チューニングアプリを使えば、適切な音程に調整できます。
アフターフォローの重要性
スリットドラムは時間とともに音が変化する楽器です。これはメーカーの精度や製作技術の問題ではなく、構造上避けられない特性です。
私自身も「音が狂わない方法」を模索し続けていますが、決定的な解決策はまだ見つかっていません。素材を厚くすることで解決できるかと試みたこともありますが、結果として音が低く狂ってしまいました。
楽器はどれもメンテナンスをしながら長く使っていくものです。スリットドラムも例外ではなく、適切なアフターフォローを受けられるかどうかが重要になります。
楽器を長く良い状態で楽しんでいただくために、気になることがあればお気軽にご相談ください。