凄く簡単にスリットドラムを作るには???その①
この投稿は竹を使った簡単なタイプです。金属製のスリットドラムはこちらでご紹介しています。
愛媛県の高校生と初めてオンラインミーティングというのをいたしました。
距離を問わずに実際のやり取りを動画で伝えることが出来るのはやはりとても便利ですね。
ちょっとうろ覚えですが、いわゆる科学部(もしくは実験を通して物理学的なものを学ぶ部活)の生徒さんたちとのやり取りです。
高校生のロボットコンテストなど全国規模で開催されていますし、そういった中から未来の技術者がどんどん育っていくのでしょうね!
何よりも部活の仲間を通して何かに純粋に熱中できるのはかけがえのない素晴らしい時間だと思います。
ちなみにワシはサッカー部で毎日一生懸命練習に明け暮れていました。
素材とやり方によっては手軽に作れるスリットドラム。
金属製のスリットドラムを製作して約15年の私が、ちょっとその具体案をご紹介してみます。
そもそもスリットドラムとは
切込みの入った音板を叩くことにより音が鳴る楽器です。
一番イメージしやすいものはポクポク鳴っている木魚ではないでしょうか。
木製のスリットドラムは昔から世界各地に存在しています。
切込みの長さによって音(音程)に変化を付けることが可能です。
音程に変化があると言っても基本的には打楽器ですので、何も考えずテキトーに鳴らしても気持ちが良く楽しいのが特徴です。
しかし皆さんが望んでいるの木製ではなくて金属製ですよね。
木製の音は余韻があまりなく、音のイメージとしては「ポクポク」または「コンコン」。
私のような打楽器好きには音の余韻の短さが好都合ですが、金属製の余韻の長いものもそれは大変気持ちが良いものです。
一音一音に酔いしれてしまう魅力があります。
とは言え、いきなり金属製は難しい
木工と鉄工を比べたらやはり木工の方がとっつきやすいと思われるんじゃないですか?
しかし鉄製のスリットドラムを製作している私自身の考えでは、素材や加工をするならば「木」よりも「鉄」の方がはるかに扱いやすいと思っています。
理由は「木は種類も多く、材により音質も変わる」。「乾燥具合で音も変化し、加工には収縮率などの考慮も必要」。。。などなどあります。
一方の鉄は、基本的には鉄は鉄。
種類が多岐にわたっているわけではなく、たとえ少々の寸法違いがあってもリカバリー(溶接など)が可能。
DIYレベルの余談としては、指を落とすなどの確率は木工の方がとても高いと思います。
何故なら木工の「刃」は鋭利。木工はスパッと切れますが、鉄工はザックリって感じ。でもどっちも怖いねぇ。。。
個人的には作業に関しては「鉄工」の方がやりやすいかと思います。
しかしイメージ的にはやはり「木工」の方がとっかかりやすいでしょうね。
ホームセンターでカットサービスもありますし、手近な道具で加工もできますし。ボンドなどでも十分な固定が出来ますし。。。
それらはともかくとして、
スリットドラムを作るのに一番簡単なのは「竹」を使う事だと思います。
東京では難しいかもしれませんが、ちょっと郊外に行けば切ってそこらに捨てられている手ごろな竹などゴロゴロしています。
もちろんホームセンターによっては適度なサイズに切られた竹も販売されています。
おまけに竹は加工もしやすく、大掛かりな工具がなくても穴を開けたり切ったりするぐらいは出来ます。
具体的にはハンドドリルを使ってのこぎりが入る程度の大きさの穴をあけ、その穴を起点にのこぎりでゴリゴリ音板を切るだけです。
実際に切ってみると想像以上に簡単に切れると思います(私の経験では「簡単に切れる」でしたが、その感覚は個人差あり)。
非常にラフな画像ですが、「竹、スリットドラム」などで検索すればいくらでも作り方は出てくると思います。
音の調整の原理がわかります
音の調整、つまりチューニングですが切込みの長さで変わります。
長ければ低く、短ければ高い。
スマホ用のチューナーアプリも無料で山ほどありますからね。表示に従い音を合わせていくのも楽器製作の醍醐味でもあるかと思います。
でもスリットドラムの場合はそれぞれの音に違いがあればチューニングがあっていようがなかろうが大した問題ではないと思います。
皆さんも定規を机の端からちょっとだけ出して、端っこを「ビィ~ン」と弾いて音を出したことがあるのではないですか?
その時に机から出した部分が長ければ低く、短ければ高い音になったでしょう。それと同じですね。
スリットドラムではそこに「共鳴」用のボディがあるので音量が大きくなります。
細い竹では何か所も切込みを入れるのは難しいと思います。せいぜい2ヶ所がいいところではないでしょうか。
音板をひとつの節内で複数入れるには「音板の切込み幅」を細くする必要があります。
何となく「細い方」が高い音が出ると思われるかもしれませんが、音板の幅は長さに比べ影響は大きくありません。
そういったことも実感できると思います。
文章で書けば簡単なことですが、木工作業でボディとなる木の箱や、音板を切っていくのは実際にはなかなか大変な作業です。
過去に私も作ったことがありますが、一発目で上手くは出来ませんでした。
試行錯誤を繰り返しながら数台作り「何となく満足のいくものが作れた」感覚です。
作る過程が楽しい人は良いかと思いますが、私自身は過程よりも「気持ちの良い音が出る楽器」が欲しかったので、結果的には「買った」方がよかったなと思ったものです。
それでも手っ取り早く簡単に、音程の原理的なものも掴みたいという方には「竹のスリットドラム」を作ってみるのは良いと思います。
しかし繰り返しますが、「作業をするのが好き」だったり、「自分で楽器を作ってみたい」方以外には、あまりおすすめは致しません。
買っちゃったほうがよっぽど楽だし、すぐに楽しめます。
冒頭の高校生たちも、仲間と一緒に作り上げるからこそ楽しい部分もあるかと思います。
ちなみに木製のスリットドラムを趣味で製作販売している静岡時代の友人に、モリさんという方がいます。
2千円から4千円程度の価格にてイベントなどで販売されています。
「モリさん、これ4千円じゃ安すぎでしょ。手間の方がかかるんじゃない?」
と何度か聞きましたが、モリさんは「材料代が出ればそれでいい。作る手間は自分の楽しみだから」とのお答え。
材料代なんてたいしてかかりません。
木材により価格の違いはあるものの、それほど大きなものでもありませんしね。
「あれこれ考えること」。それを通じて「人とコミュニケーションが取れること」この2点がモリさんにとっては重要だったのです。
ですので基本的には受注生産なんかはしていませんでした。あくまでも「その場での出会い」が大切(ワシには作ってくれたけどね)
「自作なんておすすめしない」とは言ったものの、やはり普及には「作り手」「演奏者」双方が増えないといけません。
私自身スリットドラムを作り始めてから15年ほどたちます。
今でこそ楽しみも味わうことが出来ますが、楽しい部分よりも苦悩の方が大きかったと思います。
伝統的な楽器ではないので目指すべき見本もなく、苦悩を共有する仲間がいたわけでもありません。
続けて来られたのはひとえに「この楽器は絶対にオモシロイ」という情熱を維持することが出来ただけだと思います。
スリットドラム自体は構造も簡単で、道具類が揃っていれば誰でも作れると思っています。
現に格安品の中国製がどんどん登場し、多くの人はそちらになびきます。
しかしそれらと比べてみても自分が作っているものは、はるかに「オモシロイ」。。。それなりに価格も張るけどね。
いずれにせよ演奏者、製作者、ともに仲間がもっと増えると実にエェなぁ。。
そんなワケで、次回にはその②と称して「木製のスリットドラムの作り方」。そしてその③として「金属製のスリットドラムの作り方」へとつないでいきたいと思います。