スリットドラム購入はどうしても「ネット」になりますよね
昨今注目度が上げりつつあるスリットドラム(タングドラム)ですが、なかなか楽器店で現物を確認してのご購入は難しい。。
街の楽器屋さんではまず置いていないし、打楽器専門店かヒーリンググッズ系のお店にあるかどうか。。
それでもいくつものメーカーのものがあるなんてことはまずないです。
結果的には「ネット」での購入になってしまうでしょう。
現物を確認できない以上、どんな点に気を付ければよいのか?
長きにわたり製作してきた経験から、重視したい点を3つお伝えします。
当たり前ですが、以下の3点ですね。
①音
②サイズ
③アフターサービス
まずは①の音について。
「音色」「音数」「音階」「KEY」の順に見てみます。
「音色に関してはメーカー問わずに音がとてもきれいです。」
参考動画として。この動画に関してのブログ記事
2021/9月現在、動画が見れなくなったようですね(削除された??)
海外ユーザーの方ががYouTubeに挙げていた動画を拝借していましたから。。
音はそれぞれ綺麗だと思いませんか?
ただし、正確にはそれぞれの楽器に使用されている音は必ずしも同じではありません(ドラミファソラシド、半音含めてどの音が使われているかはメーカー次第)。
音の響きは構造的なことに由来し、中が空洞で円盤型の金属に切込みを入れれば、どうやったって綺麗に響きます。
つまり「音色」のハズレはまずないと思っていいと思います。
何故なら「音色」を決める要素はほぼすべて「素材」だからです。ギターならギターの音色、サックスならサックスの音。こんな感じです。
スリットドラムで最も使われている素材は「鉄」ですので、「鉄の音色」が綺麗に響くのです。
打楽器以外の弦楽器などはいくつものパーツから構成されているので、そのパーツ次第で音が変わるでしょうが、スリットドラムは空っぽの円盤。
音を左右する要素があまりにも少ないのですからね。
その音も傾向もそれぞれ「余韻が長い」と同じです。
「でもそれぞれの楽器によって響き方が違うでしょ?」
確かに。確かに。確かに仰る通りです。
それはなぜ?
「倍音成分」と「各音の高さの違い」によると考えます。
例えば「ド」という音を鳴らしても、楽器はその「ド」だけではなく他の音も同時に出ているのです。
ザックリと言って、これらのほかの音の成分が良く言われる「倍音」で、その倍音が豊かであればそれだけ魅力的な音とも言われるようです。
スリットドラムは一体の物質ですから、ひとつの音を鳴らすと振動が即座に全体に伝わり、結果的に他の音の成分も紛れ込んでいます。
その混ざり具合が響きの違いに繋がります。
そしてこの混ざり具合は、厳密に物理的な観点からみると、それぞれの音の配置だとか、各音の高さなどに影響を受けるなど、いくらでも語ることは出来るでしょうが、私はその関連性は見いだせていません。
一人で1000台以上作ってきた経験から、各メーカーのこだわりポイントが音に現れているかと言えば「関係ないんじゃない」と思っています。
「豊かな倍音」をウリにしているスリットドラムもたくさんありますが、実際にはその倍音はほとんどコントロールできていないでしょうね。
大半が要するに「自然に鳴っちゃう」音です(私は倍音のコントロールは1種類しかできません)。。。
いずれにせよ、綺麗な響きが特徴の「金属製スリットドラム」ですが、もうひとつ「余韻の長さ」も大きな特徴です。
こちらも素材や構造が同じであれば、論理的に言っても大きな違いはなさそうですね。
しかし原則的には「大きなサイズ」であればそれだけ「大きな音」が出ますので、結果的に余韻も長くなります。
大きい=重い
「重い」というのはイヤですが、「音量の大きさや余韻の長さを」選択すれば「重さ」は耐えるしかありません。
この余韻は長い方が良いと思われる方も多いかと思いますが、私自身は特にそうは思っていません。
これは各人の使い方や好みに左右されるでしょうが、余韻が長いと音がどんどん重なってしまうという欠点もあります(必ずしも欠点ではありませんが・・)。
プロパノータでは製作開始より「如何に余韻をカットするか」も大切なポイントでした。
繰り返しますが、私自身は打楽器的に使う傾向が多いので「余韻が長く音が重なっていく」ことはちょっと避けたい部分があります。
また何らかの曲を演奏する際にも、ひとつひとつの音が分離している方が良いかとも思います。
打楽器専門店の方は「綺麗な音だけだと人は飽きてしまう」とも仰っていました。
プロパノータをお選びくださったあるユーザー様からは「あまり綺麗すぎると疲れる」とのご意見も(これはプロパノータの音が綺麗じゃないという事かっ??)。
もちろん好みの問題ですので「良い、悪い」ではありません。
あくまでも私の個人的な好みと、「あるひとつの意見」に過ぎません。
それらを踏まえて皆様がお決めになることです。
また、音の高さによっても印象は全く違います。
同じ「ド」であっても、低い「ド」と高い「ド」では音から受けるイメージが違います。
高い方が明るい感じがしますよね。
受け取り方は年代によっても違うそうです。
年配の方は「低い音のほうが聞きやすい」ようですし、子供たちは「高い音を好む」そうです。
スリットドラムも各音の「音色」は同じでも、「高い音が多い」か「低い音が多い」かによってもイメージが異なり、結果として「あぁ、全然違う」という印象を持つことが多いです(スガイ調べ)。
音の数について
最もポピュラーな音数は8音だと思います。
しかし音の数よりもどのような使い方をイメージされているか?
そこが重要です。
「曲の演奏」に重きを置くならば、音階が揃っていなければいけませんよね。しかし8音では物足りないでしょう。
「曲の演奏がメインではない」、ならば音の数は少なくても良いです。
例え「ドレミファソラシド」となっていても、それだけでは不十分です。「半音階」が必要だし、それ以上に「低い音、高い音」の使い分けが出来る方が良いに決まっています。
(経験上、半音階よりも音の高低があった方が良いかな。。でも近所のピアノの先生は逆のことを仰っていましたが。。)
そうなるとおのずから音数重視となります。
プロパノータは最大で15音入ったものがありますが、最近アマゾンで中国製のモノが14音、15音入りで販売されています。
これに関しては別のブログでも書きましたが、コレらは良いと思いますよ!
ちなみに上記の中国製は素材が違うようなので、音の余韻は鉄製に比べ短いです。
しかし曲を演奏するには余韻の短さはプラスポイントだと思っています。
気を付けたいのは鉄製で、ただサイズを大きくして音を横並びにたくさん増やしてだけのモノです。
これらはややもすると「グワァ~ン」という音が目立ち、他の綺麗な音に比べ残念に思います。
逆に「曲の演奏」が主目的ではない方は、音数はもっと少ない方が良いでしょう。
しかし「せっかくだから音の数も多い方がお得」と思われるのは心理として当然ですね。
そして、この楽器は特に楽器未経験の方が購入される率が高いと思います。
そうなると「お得感」は尚更重要かもしれません。
若かりし頃はキャンプ道具の「ひとつで何でもできる感」に憧れていました(十徳ナイフみたいなモン)。でも今はそんなの要らんねぇ。。
大切なのは、「自分がどのようなことをしたいのか」です。
何でもできる(実際には何でもできる楽器なんてギターかピアノくらいだと思っています)、というよりも「コレしかできない」という方が初心者の方には使い勝手が良いと思います。
5つ程度の音があり、その中の3つ程度を中心に鳴らしつつ、残りの音で変化をつける。
この使い方が私としてはベストです!
もちろん音が多くても問題はありませんよ。
しかし私の場合、逆に音が多いと、音をむやみに使いたくなりその結果モヤモヤすることも多いです(今の音はハズレだったなぁ。。とかね)。
音楽的センスがある人には良いかもしれませんが、私のように打楽器リズム主体の人間では、それぞれの音の「センスある使い方」なんてできません。。。で、あるならば音の数なんて少なくてもいいのです。
余談ですが、中国製の安物(6万円程度)のハンドパンも買いましたが、私の感想は「この音数の半分で良い」です。
*ハンドパンは工房製で20万円~が相場なので6万円は格安です、ちなみに音数は平均で9音。
「音階」について
これは悩むところですね。
各種の音階がありますが、良い悪いはありません。
ちょっと「暗めの方が良い」とか、「明るい感じが良い」とか、、これは個々の趣味の問題です。
ちなみにプロパノータはマグネットチューニングにより音を変えることが出来るので、「明るい感じ」から「暗い感じ」まで1台で対応できます。
マグネットチューニングを採用しているメーカーもいくつかありますが、採用していないメーカーの方が割合としては多いので、出来れば採用している方が良いと思います。
鉄製であればマグネットチューニングは可能ですが、楽器内部に手を入れることが出来ないととても面倒です。
打面の裏側ではなく、表面に磁石をくっつけることで音を変えることももちろんできます。しかし打つ際には邪魔で煩わしいことは間違いありません。
音階の話に戻りますが、多くのメーカーは「5音階」というものを採用しています。
これはとても便利な音階で、どのように鳴らしても「音楽的」に聞こえるというものです。
ちなみに、たいていのスリットドラムは8音で構成されています。
5音階がベースの場合には5つの音の組み合わせからなり、残りの3つはその高さ違いという事になります。
それ以外には「ピグミー音階」(アフリカ風)や「アケボノ音階」(和風)などをよく目にします。
恐らくは西洋音階が主体であろう欧米諸国の人々にとっては、このような「異国情緒」を感じることが出来るというのが魅力的なのではないでしょうか。
しかし「音階」と言われてもピンとこない方(お恥ずかしい話、私もそうです)は、動画などで音を聞いてイメージでお選びすればよいでしょう。
「難しいことを考えない」。それがこの楽器と付き合う上での重要な点でもあります。
便利な5音階をご説明いたしましたが、実際には音階も特にこだわらなくても良いかと思っています。
「何となくコレがいい」でも全く問題ない。
と、言いますのも、スリットドラムの特徴の一つとして「響きの綺麗さ」があります。
例えばピアノを弾けない人が「自由に」「適当に」弾いても面白くないと思いますし、そばで聞いている人も「うるさいなぁ」と思っているかもしれません。
しかしスリットドラムの場合は、それぞれの響きのお陰だと思うのですが、「デタラメ」に鳴らしても気持ちがいいんです。
音量を出して鳴らされるとうるさいと思いますが「ささやく」ような鳴らし方ですと、たとえ未経験の方が「適当」に鳴らしても心地よいです。
これは「音階が云々」の問題ではなく、「音そのものの心地よさ」だと思っています。
そういったことからも、「感覚」でお選びになっても差し支えないですね。
音の項目、最後は「KEY」について
カラオケなど行かれる方は「KEYをひとつ上げて」とかで馴染みがあるでしょう。
要するに「音階そのものの高さ」みたいなモノです。
「KEY」に関しては、ほぼ選択の余地がないと思います。
何故なら、アマゾンで販売しているメーカーなどはある程度の数をまとめて作っていることでしょう。
中国製品などはその最たるものですね。
個別のお客さんからの依頼に応じていてはとてもではありませんが、効率が悪すぎます。
仮に「KEY」の選択が出来たとしても、ほんの数種類あるかないか。
しかし、その点は問題ないかと思います。
何故なら、繰り返しますがこの楽器を迷っている方はおそらく大半が「楽器未経験者」。
音階やら、KEYなどはあまり理解されていないのではないでしょうか。。
つまり、「たいして気にしていない」。
でもそれでも大丈夫ですよ。作っている私もそうでした。
私自身、もっと音階やKeyについて知りたいと思い、最近ギターを習い始めましたが一向に身が入らない。。。
楽器をやっていると言っても打楽器でしたから、「音階」「KEY」はもともとたいして気にしない。
むしろ「めんどくせーなー」ですよ。。。
しかしそれらが多少なりともわかってくると(それはつまり、より夢中になるという事)、楽しさもアップすると思います。
とっかかりはともかく、「そういったものがあるんだ」とのことを頭の片隅に置いておくほうが良いと思っています。
ちなみに「スガイ打楽器製作所」では音階も、KEYも無料で変更できます。。。。が、それは大したメリットではない、と自分で言っているような内容でしたかねぇ。。。。。。。。。。。。。。。。。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
長々と駄文にて失礼しました。
その②サイズについてはこちらにて書いてみましたので、ご参照ください。
その③アフターサービスについてはこちらをご参照ください。
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