ネットでスリットドラムを買う際に気を付けたいこと、その①では主に「音」についてご説明してみました。
その②では「サイズ」について考えてみます。
しかしサイズうんぬんよりも、一番の問題はサイズについての表記がない場合が多いという事です。
それでも以下の3点についてみてみましょう!
①直径
②高さ
③重さ
①直径に関して
直径は手のひらサイズのモノは別として、大きいものでは30センチくらいが限度かなと思います。
それ以上になると、単に「重い」。
また、手のひらサイズは持ち運びには便利ですが「楽器」としてのご使用を考えた場合、ちょっと小さすぎると思います(スガイ工房でも製作していますが・・・)
また、海外製品はインチ表示が多いのでパッとイメージしにくい点がちょっとマイナスポイントですね(ちなみに1インチは約2,5センチだそうです)。
素材が鉄ではないものでは40センチ程度のモノもあります。
普通に使うのであれば20センチから25センチくらいが適度だと思います。
サイズの違いはひと言で言えば「音量の違い」です。
大きければそれだけ「生音」が大きい。
しかし「生音」も打った直後に鳴る音と、その余韻に分かれますので、より厳密にいうならば大きいサイズの方が「余韻」が長いので音量も大きいと感じているのかもしれません。
参考動画としてサイズの違いによる「音量」の違いを撮ったものです(撮影ポイントは約20m離れています)
サイズよりも「音の高さ」による違いの方が目立っていますね(高い音の方が聞こえる。低い音はほとんど聞こえない)。
プロパノータはすべて一般的な高さの「ドレミファソラシド」です。
ハピドラム(一番左側)は1オクターブ低い音から始まっています。
大きな音を出そうと強く打つのは効果的ではありません。むしろ逆効果です。
音の特性から、「大音量で鳴らして楽しむ楽器」ではないと思いますので、音量を目指してサイズの大きいものを選択されるのはあまり得策とは感じません。
大きくなれば「余韻」も長くなります。つまりは「音がどんどん重なってしまう」という弊害(になるのかなぁ)もあります。
サイズを大きくして音の数を増やすというメーカーもありますが、こちらに関しても私は懐疑的です。
そもそも私自身は「音数要らん派」ですからね。。。でもプロパノータは最大15音あり、これはスリットドラム業界の中ではとっても多い部類に属す。。
さらに言えば、もうちっと直径を大きくしてさらに音の数を増やすこともできないことは無い!!!けど、そんなに音数欲しい????
ちょっと逸れてしまいましたが、直径としては20センチから25センチ程度がやはりいいと思います。必要にして十分という事です。
②楽器の高さについて
もちろん価格の事ではありません。
1台であれば高さは気にすることはありません。お好きな高さで結構です。
しかし、もし2台、3台と複数並べて演奏をする場合、高さが不揃いだとちょっとストレスがかかると思います。
打楽器は行為としては「振り下ろす」ですよね。
スリットドラムはいわゆる「ドラム」のように大きく振り下ろしたりはしません。
むしろ手首から先の部分で「軽~く」触れる程度がベストです。
その時に高さが違うと「上げ下げ」というちょっと余計な動きが出てきます。
その「上げ下げ」は手首部分だけではできませんので、ひじや肩の運動も加わります。この運動は無くても良い、むしろない方が良いと思いますよ。
両手別々で、それぞれ違うものを打つならさほどの問題でもありませんが、片手で「低いもの」「高いもの」を打つと、どうしてもその「上げ下げ」が出てきます。
単純な水平移動だけではなく、ちょっとした上下移動もしなければなりません。
早く打つ場合などは出来るだけ単純な運動だけの方が良いかと思います。
まぁしかし、スリットドラムでそれほど早い連打なんかはしないかもしれませんので、あまり神経質になる必要もないかな。。。
高さについては、「理想を言えば同じ高さの方が良い」くらいの捉え方で良いと思います。
しかし、工房には高さの大きく異なるスリットドラムがあります。
高さ約12センチのプロパノータと20センチ以上の高さがあるハピドラムを並べて叩くと、やはり叩きにくいですね。
③重さについて
サイズに関しては見逃しやすいのがこの重さだと思います。
そしてこの重さはかなり重要です。
スリットドラムの大半の素材は鉄ですから、サイズが大きくなれば当然重くなります。
「特に持ち運びは考えていない!」
そういった方は良いかもしれませんが、そんなこと言わないで、外で鳴らしたり、他の楽器と楽しんだりしましょうよ。ねっ!
数年前の話ですが、渋谷の打楽器専門店にフランスのスリットドラム「Beat Root 」というモノが置いてありました。
その存在自体はネットで知っており「さすがフランス製、なんかカッコイイな」と思っていました。
決して欲しいと思ったわけではありません。「おしゃれ感が漂うなぁ」と感心していただけです。
で、実物を見て(音は予想を超えるものではなかったっス)、内部を見るためにちょっと持ち上げてみました。。
「お、お、重い・・・」
たしか直径は30センチ程度だったと思う。
HPなどを見ると、直径はその程度で重さも5kg前後はあったと記憶しています。
「コレは無理だ・・」
例えばアフリカのジャンベという打楽器は5kgを超えていますが、それはそういうモノなのであまり気になりません(でも実際にはもっと軽いものを一番良く使っていますが、それは総合的な判断からで重さだけではありません)。
スリットドラムは物体としてはそこまで大きくはないので、想像以上に重いとちょっと気が引けてしまいます。
さらに、例え直径が同じでも素材の厚みによっては重さが大きく違うことも当然あります。
薄っぺらいペラペラのモノよりも、厚いモノの方がしっかりとした音が出る。
この厚みの違いによる音の違いは皆さんも経験上何となく理解しているのではないですか?
スリットドラム製作開始当初の廃棄のガスボンベを使い製作していた時代、メーカーごとに同じ規格内のボンベでも直径や素材の厚みにはバラつきがありました。
素材が厚い方が「音も太い」というか、より「芯のある音」とは早々に感じていました。
しかしさほどの違いはありません。実のところは「厚い方が良い音」という先入観による部分の方が大きいと思います。
現在は廃棄のガスボンベは使っていませんが、工業製品としての規格素材を使ったりもしています。
当然、厚みの種類も複数あるので試してみました。
素材が厚い方が「太い音」が出るけれども、重さが倍近くになる。。。これは考え物です。
結果的に、現在の私は「音」よりも「総合的な使い勝手」を選んでいます。
「芯のある音」と言っても素材の厚みだけではなく、マレット(バチ)にも影響を受けます。
素材が薄いと、打った瞬間の打撃音も出やすく、それが「音そのものに被っている」。
素材が厚ければ、その打撃音が表に出て来ないで「音そのものが現れやすい」と睨んでいます。
つまりは、マレットの材質がもっと柔らかかったりすれば、また違った結果になりえるのですね。。。
冒頭にもご説明しましたが、販売サイトによってはサイズの明記がありません。
また、頭ではイメージが出来ても実物はまた違った面を見せることがあります。
先だって私が実験的に購入した中国製の直径40センチもの。
楽器の高さはそれほどでもなく、重さも鉄製ではないので持ち運びの苦労もありません。
しかし、部屋に置いておくと結構、というか「かなり」邪魔です。
「サイズ感」
音に注意が行き過ぎて見落としてしまう項目かもしれませんが、こちらは現物を確認できないからこそ気を付けたい点ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
ネットでの購入に関して、もう一点。
アフターサービスに関してはこちらをご参照ください。
その①「音」についてはこちらを
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