今日は先日お越しいただいた、あるテレビ番組の取材2日目でした。
楽器ですから「即興セッション」という形になりますので、その「セッション」について考えてみます。
結論としては「如何に簡単に無理なくできることを繰り返すか」という事になります。カンタンですね。
メロディではなくリズムですから重要なのは「繰り返し」です。
物事を広げすぎると結局「すべてそうだよ」となってしまうので、「打楽器セッション」に話を限定し、たとえ話として「会話」に置き換えてみます。
通常「会話」は誰か一人が話して、それを他の人が聞く。
他の人は相槌なり、質問などを差しはさみますね。
質問をする人もいれば、話を聞いているだけの人もいます。
質問をしなかったり、言葉を発することがないからと言って会話に参加していないわけではないですよね。
控えめな参加もあれば積極的な参加もあるだけでのことです。
打楽器セッションでは多ければ人数分の異なるリズムが同時進行することもあるので、会話と違い一人だけがやるわけではないですね。
会話では話している人の話を妨げないことは重要な点ですし、自分ばかりがべらべら話すのもちょっと難あり。
打楽器セッションでは目立つことをすれば「場が活性化」し、更なる展開へと続くことも多々あるので、出来る人は積極的に目立つのも良いと思いますし、あえてその役割を担うことも重要でしょう。
また、大きな波がなく淡々と進むリズムの繰り返しも、いぶし銀のような良さがありますので、それはそれで引き込まれますね。
初心者の方でもちょっとした「お調子者」タイプの方であればどんどん思い浮かんだことにチャレンジすると楽しいですし、何よりもその姿勢が周囲を盛り立てます。
控えめな人は無理してそんなことをしたり、またさせられたりするとストレスになっちゃいますよね。
それにずっと同じリズムをキープし続けるのも意外と難しいので、ときたま「ポコン」と音を入れる程度でも十分だと思います。
出来れば音数を減らす代わりに、積極的に周りの人たちを見るといいかもしれません(楽しそうな雰囲気を感じれば自分も楽しくなってきますからね)。
アイコンタクトが発生すれば、参加している感も倍増します。
これは会話も同じで、相手の目を見て話す方が良いのと似てますね。
その一方で初心者の方はじっと見られると緊張しちゃうかもしれませんので、慣れている人はその点配慮し、「いいそぉ、いいぞぉ、そのまま、そのまま」などのメッセージを伝えたいところです。
もっともプロパノータは小さな打面に音が複数あるので、どうしても楽器を見がちになってしまうのが辛い点です。
会話では「何か印象的なことを言ってやろう」などど思うこともありますが、大抵は自然に浮かんだことや、特に考えずに反応することが多いのではないですか?
「聞き上手は話し上手」
と言われるように、打楽器も相手の音やリズムに耳を傾けることは非常に大切です。
上手な会話のように「自分」よりも「相手」を心地よくさせてあげることを意識するだけでもちょっと心持に余裕が出るかもしれません。
良く「楽器や音を通して会話する」などと表現されますが、詰まる所そういうことだと思います。
打楽器セッションにおいては特に難しいことや、目立つことをする必要なんて全くなく、会話の相槌のように、たまに「ポコン」と音を入れるだけで充分だったりします。
誰かが「あんなこと」やったら自分は「こんなことをやる」のも一つの方法ですし、淡々と自分が出来るシンプルなことをするのもオツなものです
これは本当に「さりげない相槌」や「オーバーな相槌」程度の違いじゃないかな。
このように書けばなんてことないのですが、我々は幸か不幸か、何らかのイメージだけは持っていたりするので、そのイメージが恐ろしい。。。。
特に楽器では派手なソロパフォーマンスがクローズアップされたりしますからねぇ。。。(あんなことをする必要はまるでなし)
手慣れた人たちは簡単に「好きにやれば良いよ~」なんて言いますよね。
私自身も同じでたいてい「好きにやれば良いよ~」って言ってます・・・・
でも経験の浅い人にはその「好きなように」がこの上なく厄介じゃないかな。
私はもういい年ですし、恥をかくことにも耐性が出来たのか、たとえ慣れないことでもそう言われれば「ハイ、じゃぁテキトーにやるね」と割り切れる部分もありますが、一般的には厄介だと思います。
そんな時にはたいてい誰でもイメージがつく「お坊さんが木魚を叩く」ように「ポク・ポク・ポク・ポク」とやれば取り合えず問題ないでしょう。
本当にごく簡単な拍打ち「ポク・ポク・ポク・ポク」だけでも立派なリズムであり重要な要素です。
それだけでは物足りない、というかたへひとつのアイデア。
たいていの場合「4拍子」でしょうからそれを2倍した8カウントで。
例えばその1~8の中で適当に2個か3個の数字を決めます。
全体のリズム「12345678」にはちゃんと乗っかり、その中で自分が選んだ数字の時だけ音を入れるという方法です。
たとえば「2・6・8」と3つ選んだなら
「12345678」と赤字の数字にに音を入れる。
初めは「1234~」とカウントしながらになるかもしれませんが、慣れてきたらカウントせずに体感でやってみるのが良いです。
もしその大本のカウントがつかめなかったら、誰かに頼んでメトロノーム替わりをお願いするなり、カウントを言ってもらうなりすればよいよ。
「そんなことお願いすること出来ない・・・」なんて方。
ご心配なく。
上手な人は他の人が楽しむことを優先してくれますよ!
ところで日本語に関しては私たちは学校で学びますが、「会話方法」は特に学びませんよね。
誰でも日常的なおしゃべりから何となくその人なりの「会話スタイル」が身に付いたのだと思います。
もっとも「会話学校」なるものがあるので、会話に関してある程度のセオリーは存在しているんでしょう。
一方の楽器も学校で習ったことはあります。
ですが学校では楽譜に倣い、その通りに演奏する授業でしたよね。
「即興セッションのやり方」なんてものはありません(音大とかの話じゃないよ)。
どちらにせよセオリーはあるかもしれませんが(ワシはよく知らない)、その人なりが一番だったりするのではないかと思います。
「打楽器セッション」においてのセオリーはよく知りませんが、ちょっとしたコツは自分なりに持っています。
難しい技術的なことではなく、ただの心理的な側面です。
なかには「どうしてもタイミングを外してしまう」なんて人がいるかもしれませんが、会話におけるいわゆる「天然系」の人のように得難い存在かもしれませんヨ。
その人がいるだけで盛り上がるかも!
そんなこんなで、今日の主な内容はご近所さんでプロパノータを応援してくださる和太鼓奏者山田さんを交えて、おもに演奏風景などの撮影でした。
山田さんはパフォーマーですからね、臆することなくおしゃべり&演奏をしてくれとても助かりました。
内容的には山田さんへのご質問で、
「なぜプロパノータに惹かれたのか?」
「どのようにこの工房を知ったのか?」
「プロパノータの良い点は何か?」
そんなことを山田さんがお答えしつつ、番組進行役の旅人(俳優さん)を交えての即興セッション。
プロパノータの圧倒的な利点は「その場で綺麗な音を誰でも出すことが出来る」ということです。
もちろん打楽器であれば、「叩けば誰でも音は出せます」。
音だけならピアノでもギターでも誰でも出せます。
しかしプロパノータを始め金属製のスリットドラムであれば、音が出せるだけではなく、「適当」にやっていても音楽的になり、また周囲の人も不快にならずに心地よく音色に身をゆだねることが出来ます。
スタッフさんのお陰もあり、今日のセッションはとても楽しいものでした。
この手の金属製スリットドラムは「ひとり」で音に向き合い、自分の世界に入り込む方向性が高いと思います。
私自身は当初から「合奏」や「人と楽しむ」方向を目指してきました。
俳優さんや山田さんとの今日のセッションを通して、改めてその道を広めたいと強く感じました。
クーラーもなくクソ暑い工房にて、汗をかきかき良くしてくださったスタッフの皆さん、番組案内人の俳優の方、忙しい中来てくれた山田さん、ありがとうございました!
今日はほぼずっとカメラで撮影されていたので写真は無しね。