プロパノータのような楽器はここ10年前後で世に出てきた新しい楽器です。
僕も始めたころは何もわからず、ただ作りたいという気持ちで試行錯誤を繰り返してきました。
約10年たった今では、ある程度定番としているタイプは作り方も定まり、音も安定していると思います。
その一方で悩むのは、「目標とするモノがない」「師匠がいない」ということです。
過去何度も書いてきましたが、この手の楽器は言うなれば「素材の音」次第で、中身は空っぽで音そのものをいじくれる要素がとても少ないと思います。
それでも幾つも作っていれば時として面白い音に出会うこともあり、その音を再現することに苦労してきました。
そんな中、目標のイメージに近い楽器にインドの弦楽器「シタール」があります。
シタールはとても奥深い楽器ではありますが、やはりそういった民族楽器はマイナー感が否めない部分があり、その魅惑的な音色を聞いたことがある人は案外少ないんじゃないかなとは思いますが。。
そんなマイナー楽器、シタールの演奏家に友人の「加藤貞寿」(かとうていじゅ)さんがいます。
通称「カトちゃん」。
今日(14日)は久しぶりに彼の演奏を聴きに行ってきました
その昔はシタールに、リズム担当のタブラ、ガタムの3人からなるユニット「瞑想図」を組み、各地で演奏していましたが、今は主にソロ演奏でやっぱり各地で演奏しています。
元々このシタールという楽器は、インドの王様に心地よくお昼寝してもらうためのものだったとか言っていたような気がしますが、それを忠実に守ってか、カトちゃんの演奏も寝っ転がって聞いたりを推奨しています。
今日も曹洞宗の禅寺での演奏。初めは座って聞いていた人もいつの間にか寝っ転がったりしながら聞いていました。
倍音ってなんだか体の内面に働きかけるものがあるそうなので、興味ある人はぜひ聞きに行ってくださいな。
シタールの一番の特徴は、ある一音を弾くとその音に共鳴して多くの倍音が響き渡ることだと思います。
友人のシタールは弦が18本あるそうですが、確か主に弾くのは1本。あとは共鳴弦。
共鳴弦が発する音は、後から「ホワァ~~~」と音が広がる感じなのですが、僕は音が後から広がる感じをずっとイメージしてプロパノータ製作に励んできました。
今ではそのイメージに近い音を入れることは可能になりましたが、そもそもこの音は偶然から生まれたものでした。
その音の再現を目指し、長いこと苦悩の日々が続きましたが、出せるようになった今では随分簡単なことだったなぁと思います。
なんてことないですよね。。。
今までも、またこれからも真っ暗な洞窟をライト無しで進むようなことが続くんでしょうね。。。
そして何かを実現できたときに、ふと振り返ると「なんだなんだ、こんなことだったのけ」と思い至るのかな。。
そん時はきっと「何でこんな簡単なことに気が付かなかったんだろう」って思うんだろうなぁ。
多角度的に考えるように意識してるんじゃけどねぇ。。
今でも自分の中にある新しい音への漠然としたイメージはあります。
それを実現するための方法を探っているのですが、「新しい音」って偉そうに言っても結局は「過去に聞いたことのある音の再現でしかないのではないかな???」との思いもあります。
「見たことも聞いたこともないモノはつくれないよ」昔友人の森さんが言っていました。
きっとそうなんでしょうね。。
「新しいもの」なんて言っても「何らかの改良」か「モノマネ」でしかないのでしょう。
例えそうであっても、自分の中にある「音へのモヤモヤした欲求」を実現できればえぇのだがな。。。。
まだ漠然としすぎている。。