去年の秋、和太鼓奏者の「中ノ島壱太郎」さんよりカスタムのご依頼を受け製作させていただきました。
壱太郎さんはソロでの海外公演が多く、その中で和太鼓だけでなく「日本の歌」も紹介していきたいとのことから音階が奏でられる打楽器を探していたそうです。
以前よりお話は伺っていましたが、今回はドイツ公演で使っていただいている模様です。
依頼内容は
サイズが大きく、ドレミファソラシドがピアノのように並んでいること。
最低音は「ド」ではなく「ラ」から。つまり「ラシドレミファソラシドレミファソラ」の15音。
なるべく薄くして、側面にはぶら下げられるように金具をつける
だいたいそんな感じでした。
振り返ってみると、都合4台作ってみたようですね。
P15では最低音が「ド」。
いわゆる小学校などで習う「ドレミファソラシド」が基準の高さになっています。
ドレミファソラシドとひと言で言っても高い低いがありますからね。
それよりも低い高さの場合は今回のように「より大きいサイズ」のボンベを使っています。
太鼓などでもそうですがボディのサイズが大きければ低い音が出やすくなります。
ですが鉄で作る場合、低い音になるとお寺の鐘のように「グアァァ~ン」という音になってしまいます。
これは音の周波数とボディの大きさが密接に関係しあっていると思いますが、その低い音に合ったボディサイズを選べるほどボンベのバリエーションがあるわけでもないので、少々無理をして出している点は否めません。。
低い音の場合は鉄ではなく、より余韻の短い「アルミボンベ」を使い、低音のベースドラムとしています。
ただしアルミだと低音は良くても高音の伸びが出ない問題があり、結局鉄のボンベになりました。
(壱太郎さんのご依頼は低い音を含めての2オクターブでしたのでね)。
サイズ比較の画像を載せてみますが、壱太郎さんの特大サイズは直径約30センチ。通常こちらで扱っているサイズ大(商品コードP15)は直径約25センチで高さ約18センチ、サイズ小が直径約20センチで高さが約13センチ。
サイズ大が重さ約3キロでサイズ小は約1,5キロ。
この特大はなんせ重い。約5キロ。
特大サイズは主に「手で叩きたい」という方向けかな、と思っています。
依頼がない限り滅多に作ることはないので、画像も動画もないねぇ。。
心の中では「手で叩きたい人向け」に作ろう作ろうと思っているのですが、デカいとそれなりに大変であまり気が進みません。。。
今後作る場合にはもう少し全体を薄くして軽量化を図る予定です(それでも大きく軽くなるわけではないですが)。
ボディが大きければそれだけ音量も大きいし、手で叩く場合は音階を揃えて「曲を弾く」というよりは、直感的に叩きたい人がほとんどでしょうから基本は5音階ですね。
「手で叩く場合」胡坐をかいてその上に乗せて叩くことを想定しているので、このぐらいのサイズ感はあったほうが良いし、演奏中には重さも気にならないと思います。もちろんピックアップマイクは内蔵しますので細かな指先での表現も伝わります。
問題は運搬ですよ(車があれば何の問題もないでしょうが)。
プロパノータはどれでも手でも叩けますが、マレットの方が何かといいと思います(何より簡単に音が出る)。
例えばジャンベなどのように初めてでも「ドゥ~~ン」というような低音が出せるかというと、ちょっと難しいかもしれません。
掌全体で音を出すというわけではなく、指先や指の腹で音を出すので、最初は力が入り上手く響かないかもしれません。
決して難しいわけではありませんけれど、少々の慣れが必要かも。
今大人気のハンドパンなんかはマレットよりは断然手で叩くほうが良いでしょうね。たぶんマレットだと音がイマイチではないかな。(自分では持ってないし人様の物をバチで叩かせてくれるとも思わないので試したことないけど)。
ドラムももちろん手でも音は鳴りますし有名な人が手で叩いていましたよね(ワシはロック少年ではなかったのであまりよく知らない)。ツェッペリンのドラマーでしたっけ???
僕はいわゆるパーカッションなので、ドラムもスティックのみならず、指先で叩いたりすることも好きですが、やはりドラムとして使うならスティックじゃないと文句を言われるような気がするなぁ(パーカッションとして、なら別かな)。
それはともかく、壱太郎さんはあのおっそろしい「鬼太鼓座」出身。
その当時のお話を伺っていても、そりゃ凄まじい。。。
でも、壱太郎さん初め団員の方々はなんせヨソを知らないし「そんなもんかな」って感じで特に気にならなかったようです。
「ホ、ホ、本当かよ・・・」
やたらと走り回って太鼓叩いて集団生活して自由もなく、、、、確かにワシもそういうの決して嫌いではありませんが。。
しかしそれにしてもね、凄い集団ですよね。身体が引き締まるだろうなぁ・・・
そういう集団に属すということへはある種の憧れを感じます。
海外公演などもほとんど一人で手配して行っちゃうみたいですが、壱太郎さん自身「何事にも動じない感じ」。
物静かな感じでカッコイイ方でした。
今度機会を見つけて日本での公演を見に行こうと思います。